愛媛県・四国中央市の山あいの地域で、45年前に市に土地を売却したはずなのに、40年近くにわたって税金を払わされ続けているという男性がいます。

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市道部分の土地を所有する男性(74):
こいつら信用できんもんな。四国中央市だけは。とんでもない日数がたってしまって、お互い違法じゃなんじゃって言い合いせな、いかんようになるんよね。

「めざまし8」の取材に、憤りをあらわにする男性。
一体、市と住民の間で何が起きているのか?双方を取材すると、他の自治体でも起こりうる“税金トラブル”の全容が見えてきました。

事の発端は「売買契約」の延期

トラブルとなっているのは、“市道”になっている道路。

男性によると、現在、道路部分の「土地を所有しているのは男性」。一方、「土地を管理しているのは四国中央市」で、誰でも通れる市道として使われています。

専門家によると市道など公道として利用されている土地には、原則、固定資産税はかからないとのこと。しかし、男性は「市から支払いを求められ続けている」と主張しているのです。

市道部分の土地を所有する男性(74):
(市の)建設課が言ってくれないから、固定資産税か分からないから、そのまま課税してきている。

事の発端は、まだ現在の市道がなかった、約45年前。
男性によれば、当時、市は男性の父親が所有する土地に市道を作るため、「土地を買い取る」と約束したといいます。

工事は進み、1982年に市道が完成。しかし、市は「予算がない」などの理由で、正式な土地の売買契約を延期し続け、所有者は父親のままとなっていました。

父親が亡くなり、土地を引き継いだ際、その事実を知った男性。
市に対し、再三、土地を買い取る約束を果たすことや、固定資産税の対象から外すことを求めました。

一方で、市は過去の資料が残っていないことなどから、要求には応じなかったといいます。

市道部分の土地を所有する男性(74):
普通は引き継ぎ事項なんていうのは、みんな文書で残していくのに。元々の悪いところは、文書で残さないことやな。引き継ぎ事項を。

そこで、男性は 2005年ごろから固定資産税の支払いを拒否。
すると市は、「税金を滞納している」として男性の自家用車などを差し押さえたというのです。

そして今年、市から男性の元に届いたのが、大きく「警告」と書かれた赤い封筒。
そこには、「納税催告書」として、延滞金を含め過去5年分の固定資産税135万800円を納めるように書かれていました。

男性がこれを拒否すると、市は、預金口座から現金を差し押さえたといいます。

市道部分の土地を所有する男性(74):
いや、正しいことができないことよ。信じらない本当に。やっぱり行政は、何でもやっぱり、正しく清くやっていかなあかん。

売買契約書が見つかる「今後課税分の返金等の対応を踏まえ検討」

そんな中、先月、男性に思わぬ出来事が。
自宅の倉庫を整理していたところ、約45年前に父親と市が交わしたとみられる土地の「売買契約書」が見つかったのです。

これらの資料を元に、現在、男性は市の担当者と協議を進めています。
契約書が本物であれば、長年支払う必要のない「固定資産税」を男性に請求し続けていたことになる四国中央市。

担当者は「めざまし8」の取材に対し、「市が今回の問題を把握したのは去年です。市が保管する当時の資料は保存期間を過ぎ破棄されているため、いきさつは分かりません。しかし 市道部分に課税するのはおかしいので、今後課税分の返金等の対応を踏まえ検討しています」と回答。

今回のようなケースについて、土地問題に詳しい三平聡史弁護士によると、数十年さかのぼるような 古い契約の場合、同様のことが起こるといいます。

みずほ中央法律事務所 三平聡史弁護士:
(同様のケースを)全国でそれなりに聞くことはあります。
少なくとも今は、(行政が)最初に所有権を得るなり、権利関係を処理した上で工事をするっていうのは普通。仮に、私有地を道路として使っちゃっているのであれば、一種の違法状態ですからそれは買い取らなきゃいけない。
(めざまし8 7月12日放送)