7月3日、20年ぶりに新紙幣が発行され、長崎県内の銀行には早く手に入れたいと多くの人が窓口を訪れた。新紙幣をモチーフにした商品も登場し盛り上がりを見せる一方で、券売機などを扱う店は対応に追われている。交通機関も対応はまちまちで、しばらくは利用者も戸惑うことが続きそうだ。

新紙幣で給料を渡したい!

長崎市の十八親和銀行本店では3日午前11時から、専用の窓口で新紙幣への両替や出金を始めた。

銀行の窓口には新紙幣を手に入れたい人が訪れた
銀行の窓口には新紙幣を手に入れたい人が訪れた
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午後3時の営業終了までに130組ほどが新紙幣を求めて銀行を訪れた。中には会社の給料に少しでも新紙幣を入れようと両替に来た人もいた。

世界最先端の技術で偽造防止を強化
世界最先端の技術で偽造防止を強化

20年ぶりに発行された新紙幣は3Dホログラムなど世界最先端の技術で偽造防止を強化したほか、凹凸で種類を識別できるようにするなど、誰もが使いやすいデザインになっている。

十八親和銀行事務IT部の担当者は「少しでも多くの客に早く渡したくて3日に窓口で対応した。客が嬉しそうに新紙幣を持っているのを見て嬉しく思う」と話した。

リッチな気分に!新紙幣のタオル

新紙幣の登場にあわせ、官報などを扱う店では6月から新紙幣をモチーフにしたタオルを販売している。

新紙幣をモチーフにしたタオル
新紙幣をモチーフにしたタオル

長崎県官報販売所の片山健太さんは「色々と暗い話題が多い中、お札が切り替わる時に明るい話題を少しでも増やせたらと思い、取り扱いを始めた」と話す。

一番人気は1万円のデザイン
一番人気は1万円のデザイン

一番人気は1万円のデザインで、大小あわせて3種類。売り切れが続いていたが、3日に販売を再開した。

1万円タオルを3枚購入した人は
1万円タオルを3枚購入した人は

1万円タオルを3枚買い求めた人は「妻に渡せば喜ぶかなと思って購入した。といっても妻に渡してもただ笑うだけかな」と話すが、きっとその瞬間は家族で笑顔の時間となっただろう。リッチな気分でタオルを使えることは間違いない。

券売機入れ替えも受注待ちで混乱

券売機などがある店は対応に追われている。JR長崎駅近くのラーメン店では、券売機を入れ替えて2日までに新紙幣への対応を済ませた。購入には200万円ほどかかったという。

ラーメン家政の平野悟代表は「元々券売機があるところは一部分を替えればいいけど、券売機ごと買うとなったら費用は何百万とかかるので大変」と話す。

新紙幣の対応が間に合わなかった券売機も
新紙幣の対応が間に合わなかった券売機も

他の店舗の券売機は早めに注文していたものの3日までに間に合わず、新紙幣への対応は翌週になる予定だ。それまでは客の新紙幣を旧紙幣と交換して対応する。

券売機の対応をする自動サービスによると、県内の券売機などは8割ほどが対応を済ませているという。しかしメーカーから機会を入荷できないと連絡を受けていて、すでに受注した機械150台が設置できない状況だ。

券売機の対応担当者は
券売機の対応担当者は

担当者は「あと3、4カ月は品薄状態が続くのではないか」と話す。紙幣識別のユニットだけの入れ替えで20万円前後、機械ごと入れ替えると高いもので200万円を超えるものもあるという。飲食店や温浴施設の担当者によるとキャッシュレス化による設備投資や原材料などの高騰も相まって、新紙幣対応の機械の入れ替えはすぐには厳しいという声が聞かれる。

自動サービスの荒木博課長は「出費も大きいので個人で営業しているところは痛手で迷っているのが現状」と話し、実際に対応を悩んでいる事業者も一定数いるとしている。ラーメン家政の平野代表も「買い替えの補助金もあったらいいが部品自体、券売機屋に補助をする。そこもやっていればもっとスムーズに機械の入れ替えができていたのではないか」と話す。

交通機関は対応まちまち

県内の交通機関での新紙幣の対応はまちまちだ。

長崎バスはすべてのバスの車内に設置している運賃箱や両替機、チャージ機が新紙幣に対応。県営バスは準備を進めていて年内の対応予定。ただし両バス会社ともに長崎空港に設置している券売機は対応していない。長崎電気軌道は秋ごろ対応予定。それまでは運転士が旧紙幣と交換するという。JR九州は対応を進めているものの無人駅では二次元バーコードを使い、降りた駅で精算する仕組みを導入することにしている。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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