6月22日(土)、宮城県・スポーツランドSUGOで開幕したスーパーフォーミュラ第3戦。
トヨタ自動車会長の豊田章男氏がオーナーを務めるROOKIE Racingが運営するチーム「ドコモ・ビジネス・ルーキー」は今回のレースに特別な期待を抱いていた。
錦織健チーフメカニック:
去年のデータもあるので、他のサーキットと比べたら楽しみですね。
前田沢応セカンドメカニック:
楽しみではあります。去年4位で僕泣いちゃいましたからね、嬉しくて。
スーパーフォーミュラに参戦して今年で5年目。チームはなかなか結果を残せずにいた。
ドライバーは2007年スーパーGT300クラスで王者となり、2019年には500クラスでも栄冠を勝ち取った大嶋和也(37)。経験豊富なベテランドライバーもこの状況には苦しんでいた。
「辛かったですね。正直スーパーフォーミュラのレースウィークを迎えるのが嫌だったし、サーキットに行きたくないなと思っていたんですけど、流石にこんなに結果が出ないと自信もなくなってくるし」
そんな大嶋とチームに希望の光を灯したのが、去年の第5戦、スポーツランドSUGOでのレース。
マシンの状態、チームの戦略、そして大嶋のドライビングが噛み合って掴んだのは、チーム最高成績の4位という結果だった。
チーム無線:
やったー1大嶋4位!よくやった!すごい!
大嶋無線:
あーありがとう。今までで一番嬉しい4位だ。
大嶋がその時を振り返る。
「本当にずっと結果が出てなかったのでSUGOで思い切ったセットアップも提案してエンジニアと考えてやった結果、結果に結び付いたので本当に嬉しかったですね。全員で良くしていこうという、今のチームは機能し始めたのかなと」
そして6月22日。あの最高成績を出したSUGOでの第3戦。チームは去年のデータを有効に使いながら、マシンを作り上げてきた。
まずは土曜日の予選。みんなの期待を背負って大嶋がコースへ。
今シーズン、予選Q1でA・B組の上位6位に残ることができず、まだQ2に進出できていないチーム。
去年のように、このサーキットで上昇のキッカケを作ることができるのか?チームスタッフがモニターを見守る中、大嶋は果敢に攻める。
会心の走りで今シーズン初めて予選Q1を2位で突破。
タイムはトップのチームとわずか1000分の1秒差だった。
チーム無線:
いいよ。トップと1000分の1秒だよ、1000分の1秒。
大嶋無線:
ヤバいね。楽しかったわ、久しぶりに。
戦闘力の高いマシンを用意したエンジニアとメカニック。そしてその力を見事に引き出したドライバー・大嶋。
まさに“チーム一丸”で手にした予選8位の結果。ピットには拍手と笑顔があふれた。
予選後のピット。大嶋はスタッフの前でこう挨拶した。
「予選のクルマ本当に乗りやすくて去年以上に決まっていたかなと思います。僕も満足のいくアタックが久しぶりにできましたし、ありがとうございました。明日は何とかこのままちょっとでも順位を上げてポイントを獲って帰れればと思いますのでよろしくお願いします」
翌日23日の決勝は、雨と霧で難しいコンディション。
それでも、ひとつでも前の順位へ。大嶋が今シーズン最高の8番手からレースに臨む。
しかし、チームを待っていたのはまさかの結末だった。
大嶋無線:
ごめん、やっちゃった…ごめんなさい。
歓喜の予選から一転。この日、合計3台のマシンがクラッシュした最終コーナーで起こった悲劇。
「ちょっと僕的にも対処のしようがなかったというか、加速した瞬間コントロールできないレベルでリアが流れてしまったので、今回は予選でパフォーマンスを出せたというところが一番大きかった。僕的にもポイントを取れなかったのは悔しいですけど速く走れたという満足感は得られたので、また次に向けてモチベーションを上げて頑張りたいなと思います」

レースはノーポイントで終わったが、予選で得た確かな自信。
大嶋はチームと共に、再び上を目指していく。
(映像・写真提供:JRP)
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