東京都内を中心にイタリアンレストランを展開する「ブリアンツァグループ」(運営:株式会社Signal、所在地:東京都港区六本木)は、2023年11月24日(金)に、東京でもっとも注目されているエリアのひとつ「麻布台ヒルズ」に直営店の「DepTH brianza」(デプス・ブリアンツァ)をオープンしました。わずか12席のレストランを、オーナーシェフの奥野義幸は「携わるすべての人が主役になる場所にしたい」といいます。グループにとって7店舗目になるレストランのコンセプトや、今後の期待などを、シェフであり経営者である奥野自身の言葉で語ります。
◆ブリアンツァグループサイト:https://la-brianza.com/
◆DepTH brianzaサイト:https://la-brianza.com/depth_brianza/
未来の飲食業界をどう魅力的な業界にし、成り手を増やしていくか
――「DepTH brianza」(以下、DepTH)とはどんなレストランでしょうか?
テーブルのみ12席の小さなレストランです。コース料理のみで、シェフである僕(奥野義幸)が、長年培ってきた全国の生産者さんとの関係から仕入れることができた貴重な食材を扱いながら、僕自身の感性でDepTHでしか食べられない料理をお出ししています。
「料理のジャンルは何ですか?」と聞かれるんですが、これが難しい(笑)。もちろんベースは、僕が長年作り続けてきたイタリア料理ですが、スパイスを使ったりするので中東などのオリエンタルな料理にも感じるかもしれませんし、素材を重ね過ぎずシンプルな仕立ても多いので「日本料理みたいですね」といわれることもあれば、外国のお客様からは「東京イタリアン」といわれることもあります。
どう感じていただけるかは、お客様次第ですから、お客様一人ひとりにとってのDepTHがあっていいと思っています。
――DepTHを「携わるすべての人が主役になる場所」としていますが、どんな思いがあるのでしょうか。
オーナーシェフである僕が毎日厨房に立っているので、僕が主役になれる店を作ったと思われるかもしれないのですが、そうではないんです。
キッチンスタッフだけでなく、ホールスタッフを含めた全員が主役で、生産者さんも全員主役。お客様も主役になる場所にしていく。それは今後のレストランがあるべき姿だと考えています。とくに一緒に働いているスタッフが主役になるようにと思っています。
というのも日本の人口は減少傾向にあって、およそ50年後の2070年には、人口は8700万人になるといわれ、総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は、2020年の28.4%から38.7%にまで上昇するといいます。1人の女性が出産する子どもの数も1.36になるといわれ少子化も深刻です。
飲食業界は、ただでさえ人手不足といわれているなかで、これからどうやって従業員を確保していくのかは喫緊の課題です。
これまでのレストランは、トップに立つシェフの力が圧倒的に強いものでした。トップダウンで物事を決めて、従えない者を厳しく指導する。それでも営業ができていた時代はよかったのですが、今は状況が違います。他にも魅力的な仕事があるなかで、飲食業界の成り手をどう増やしていくか。僕自身は、古いやり方をなくしていくべきと考えています。
レストランは時代とともにその姿を変えてきました。今後も、変わっていかないといけません。その意味でシェフが主役のトップダウン的な場所ではなく、働く人を中心にしたレストラン、つまり「携わるすべての人が主役になる場所」を目指すことは、50年先のレストランのスタンダードを作ることになると考えています。
――「携わるすべての人が主役になる場所」にするためのDepTHのシェフとして何をしていますか?
僕が毎日DepTHに立っているのはスタッフに理想の職場を見せてあげたいというのもあります。そのなかで特に意識しているのは、スタッフに対して「怒らない」ことです。
たとえば、僕が怒りまくっていたら、他の人も怒っていいと思うはずです。でも僕が怒らないで、みんながノビノビと楽しそうにやって、さらに利益も出してたら、きっとそれを真似しますよね。それがチームビルドを強化をする最善で最速の方法なのかなと思ったんです。
それに僕と同じ料理人として働けるというのも、シェフを目指すスタッフにとっても魅力的なことだと思うんです。お店が大きくなると、厨房以外の業務も増えてきてシェフが厨房で料理をすることがなくなっていきます。有名店に行くとシェフがいないというのもよくあることですから。
飲食業界の古い風習から抜け出し当たり前の企業になる
――「ブリアンツァグループ」の経営者として考えてることはどんなことでしょうか。
「人が宝」だと心の底から思っているので、スタッフが働きやすい環境をつくっていくことを考えています。就業時間の長さや「見て学べ」の指導など、飲食業界の古い風習は、いくら「お客様の笑顔がやりがいです」といっても。他の業界と比べて環境が悪ければ人材が集まらないのは、当たり前のことだと僕は思うんです。
そこでブリアンツァグループは、いち早く飲食業界の当たり前から抜け出して一般企業と変わらない経営体制にしたいと考えました。まず着手したのは、バックオフィスの整備です。社労士の先生とともに労働環境を整備して、社員の福利厚生についてもできる限り手厚くすることを目指しました。他の業界からすると当たり前すぎることかもしれませんが、それすらできていなかったのが実情だったのはお恥ずかしい限りです。
今は、スタッフに法定労働時間を超える時間外労働や休日労働をお願いする労使協定「36協定」を事前に結ぶなどして会社をきれいにすることを続けています。
――就業時間外で学びたいスタッフに対してのサポートも手厚いですよね。「人材育成」についての考えを聞かせてください。
はい、ソムリエなどの資格試験の受験料は、合格した場合に限り会社からの報奨金を支給しています。また、レストランで働く人にとって、他のレストランを知ることがとても大切ですので、勉強研究費として利用した際のレポート提出を条件に、食事代を会社が負担しています。負担額の上限は、勤続年数やポストに応じて異なります。
「人材を育成する」という考えは、僕はおこがましいことだと思っています。社会人になるまで20年以上、親御さんや学校の先生方の手で大切に育てられたのだから、人間形成はしっかりできているはず。それなら職場としては、その人の良いポテンシャルを発揮できる場所を提供することを考えるべきだと思うんです。
――麻布台ヒルズという話題のスポットへの出店を終えて、今後の展望について教えてください。
じつはブリアンツァグループにとって画期的といえる計画があります。2025年の大阪万博に向けて盛り上がりを見せている大阪に店を出すことです。これまでブリアンツァグループは東京と横浜(共同経営の子会社との店舗)の関東圏での出店でしたので、かなりのチャレンジだと思っています。
また、今は直営店を増やすよりも、企業様と共創していくような業務委託での出店の方がブリアンツァグループらしさが出せると思っています。売り上げの達成目標も含めて、大きなプロジェクトに対する責任感と、レストランとして世の中に向けたクリエーション、そして企業様が望むことも実現していく必要があります。
幸い僕には「自分の我」というものがないので、いわゆるクライアントワークが得意というのもあります。相手から求められていることに真剣に取り組むのが好きなんです。それは、自分の料理をつくりたいと考えている料理人とは、違ったところだと思いますし、ブリアンツァグループの強みでもあると思っています。
――グループ店が増えていくことで働く人にとってどんなメリットがあると思いますか?
たとえば、ブリアンツァグループは店舗の数が多いし、価格帯もコンセプトも違う店なので、料理人にしてもサービスにしてさまざまなスキルを磨くことができます。とくに料理人は、皿の上のことだけに集中しがちなので、そこだけではない広い世界を見せられるのは、とっても大切なことだと思っています。
また、長く働いていると、ご家族の事情や結婚、女性スタッフには妊娠や出産など、ライフスタイルが変わって、今の仕事が続けにくくなることもあります。そんなときでも、ブリアンツァグループであれば、環境を変えて続けることもできますし、現場だけではなくバックオフィスの仕事に移動することもできます。
企業様と共創する大きな規模の仕事だからこそ得られる経験もありますから。飲食系のオフィスで働きたい人は、他のオフィスの社風や文化も感じられるのはメリットになると思います。
なによりスタッフがノビノビと楽しそうに仕事をし、ブリアンツァグループに入ったことで成長できたと思ってもらえれば、それが企業の価値になると思いますし、その姿を見て企業様も一緒に仕事をしたいと思ってもらえると思います。結果的に入社を希望する人が増えるだけでなく、長くい続けてもらえる、50年後まで続く会社になるのではないでしょうか。
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