思わず鼻を覆いたくなる排水溝のにおい。
キッチンにモワッっと漂う生ゴミのにおい。
ツンと鼻をつくトイレのにおい…。

家に漂うイヤ~なにおいの中でも不快度が高いのがこの3つではないだろうか。しかも、これらのにおいはなかなかしつこい。

家庭から工場まで、様々なにおい問題を解決してきた臭気判定士の松林宏治さんに、対策方法を聞いた。

相談が多い排水溝のにおい

松林さんによると、家庭のにおいの悩みで多いのは、キッチン・洗面台・お風呂場の排水溝からの下水のようなにおいだという。

「排水溝のにおいの主な原因は、排水トラップや配管の汚れです。汚れが栄養源となり嫌なにおいを出す雑菌が繁殖してしまっているのです」(以下、松林さん)

まずできる手軽な方法は、市販のパイプクリーナーで定期的に掃除すること。頻度の目安は、排水溝の状態や使用するクリーナーによって異なるため、メーカーサイトを確認してみてほしい。なお、週1回行うと綺麗な状態を保てると紹介しているメーカーもある。

いつもの掃除にプラスして、定期的にパイプクリーナーを使うとよいと松林さん(画像はイメージ)
いつもの掃除にプラスして、定期的にパイプクリーナーを使うとよいと松林さん(画像はイメージ)
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「それでもにおいが気になる場合は、高圧洗浄をするといいでしょう。頻繁にやる必要はなく、年に1回程度で十分です」

高圧洗浄は、住んでいる地域の水道局の指定工事業者などに頼むことができる。賃貸の場合は管理会社や大家さんに相談してみよう。

家庭用高圧洗浄機と排水管洗浄ホースがあれば、自分で行うこともできる。一度買ってしまえば何度も使えるので、結果的にお得になる場合も。コスパを意識する人は検討してみてもいいかもしれない。

生ゴミは“湿度”を攻略

この時期、油断するともわ~っとにおってストレスになるのが、キッチンの生ゴミ臭。できれば嗅ぎたくないが、どのような方法で捨てるのがいいのだろうか。

「生ゴミのにおいもやはり雑菌の繁殖が原因。雑菌の発生条件は温度・湿度・栄養源。栄養源である生ゴミは、ズバリそのものなのでなくすことはできません。そこで、湿度を下げることで雑菌の繁殖を抑えます」

暑いとにおいやすい生ゴミ(画像はイメージ)
暑いとにおいやすい生ゴミ(画像はイメージ)

具体的には、生ゴミを捨てる際には以下の手順を試してみてほしい。

(1)新聞紙・古紙・チラシのようないらない紙の上に生ゴミを出す
(2)もしあれば、重曹をまんべんなくふりかける
(3)紙でしっかりつつみ、ポリ袋に入れて密閉する

重曹はにおいを吸着して消臭する効果がある。さらに、生ゴミから発生するにおいが酸性であるのに対して重曹は弱アルカリ性なので、中和消臭の効果もあるとのこと。

また、より完璧を目指すなら、通常のポリ袋よりも防臭に特化した防臭用ポリ袋を使うといいという。

「私も実際に嗅ぎ比べてみましたが、かなり効果がありますよ」

トイレのアンモニア臭には“お酢”

最後は、しつこいトイレのにおいについて。

家が古い場合などは、「トイレを掃除してもしつこいにおいが消えない…」と悩んでいる人もいるかもしれない。

便器を掃除していても臭うケースは、床や壁、便器の隙間に飛び散った尿が尿石となり蓄積し、尿石からアンモニア臭がしている可能性があるという。

「アンモニアはアルカリ性なので、お酢:水=1:5にして混ぜたスプレーで中和消臭し、尿石を落とすことができます。シュッシュと吹きかけて1~2分置いてからふき取ってください」

床をお酢スプレーで拭くとアンモニア臭が中和消臭される(画像はイメージ)
床をお酢スプレーで拭くとアンモニア臭が中和消臭される(画像はイメージ)

尿は、膝の高さくらいまで飛び散っている場合もあるので、壁の掃除も忘れずに。

ちなみにお酢スプレーは、部屋に染みついたペットの尿のにおいにも有効だという。ペットを飼っている人は、ペットのトイレの周辺の床や壁に試してみてほしい。

なお、紹介した方法を行ってもにおいが取れない場合や、においの元がわからない場合は、消臭専門業者に相談するのも一つの方法だ。ホームケアとプロの技を上手に使い分けて、イヤ~なにおいを撃退しよう。

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松林宏治(まつばやし・こうじ)
臭気判定士。工場や総合病院から一般の家庭まで、あらゆるにおい問題を解決する企業・共生エアテクノ代表取締役。自身の嗅覚をたよりにさまざまなにおい問題を解決してきたことから“におい刑事”の異名をとる。著書に、『臭気判定士・におい刑事(デカ)が教える! ニオイで女性に嫌われない方法』(インプレス)。

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