スマホで顔写真を撮るだけで健康チェック
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で健康診断が延期となるなど、従業員の健康管理を心配する声があがっている。
こうした中でNTTデータが8月3日、スマートフォンで顔写真を撮るだけで、ストレスのレベルなどが分かるアプリの実証実験を始めた。
アプリでは、顔写真の“肌の状態”や“筋肉の動き”などから、「心拍数」「ストレスレベル」「血中酸素飽和度」「心拍変動」「呼吸数」の5項目の測定が可能。
なお測定可能な数値の1つ、「血中酸素飽和度」は、新型コロナウイルスの重症度指標として重要とされるデータで、病状の判断目安にもされているという。
今後は、「体温」「血圧」「血中アルコール濃度」「ヘモグロビンレベル」が測定可能になる見込みだ。
顔写真の撮影から測定結果が出るまでの所要時間は20秒ほど。健康診断の結果など過去のデータと照らし合わせることで、健康管理に役立てられるとしている。

今回の実証実験の対象は、NTTデータの社員を含む、約1000人。9月30日(予定)までの実証実験を踏まえ、アプリを10月にも企業向けサービスとして販売する方針だ。
“スマホで顔写真を撮るだけで健康チェックが可能”というのは画期的なアプリだが、一体どのような仕組みなのか? そして開発したきっかけは?
NTTデータの担当者に話を聞いた。
毎朝、勤務前に顔写真を撮影
――実証実験では、毎日どのようなペースで顔写真を撮影する?
毎朝、勤務前にアプリを起動し、スマートフォンのカメラで顔写真を撮影し、5項目を測定。
アプリとコンピュータのサーバを連携することで、データを取得しています。事前に定めた数値を超えた際には出社を控えるよう、促していく運用を想定しています。
――このサービスをどのようなかたちで活用してもらいたいと思って開発した?
リモートワークが定着したアフターコロナにおいて、これまで接触を前提としていた、従業員の健康管理の在り方も変化を必要としています。
このサービスを利用いただき、健康診断のデータなどを連携することで、従業員の健康管理に役立てていただきたいと考えております。
――実際に企業に提供する場合、どのようにして使うことを想定している?
出社前に従業員がスマホで顔写真を撮影して、5項目を測定し、当日の出社の判断にご利用いただくことを想定しています。
”顔写真だけで健康チェック”の詳細
――では、顔を撮影するだけで心拍数などを測定。これはどんな仕組み?
「rPPG」という特殊な技術を利用しています。
この技術は、血液が緑色の光を吸収する作用を利用し、皮膚に光を当てて、反射した光の変化から、心拍数や血中酸素飽和度を取得する技術です。
――ストレスレベルは、具体的にどのようにして測定する?
ストレスレベルについては特別な手法を利用して、「心拍変動偏差値」を算出しています。
「心拍変動偏差値」は、一定時間の計測により、心拍数の揺らぎや間隔のばらつきを数値化したもの。ストレスレベルを測定するために数値化しているものです。
――ストレスレベルは何段階で示される?
「LOW」「NORMAL」「MILD」「HIGH」「EXTREMELY HIGH」の5段階です。
新型コロナ感染拡大防止につながる?
――このアプリが新型コロナウイルスの感染拡大の防止につながる?
「血中酸素飽和度」は、新型コロナウイルスの重症度を判断する際に重要な項目とされています。この数値が異常だと、出社を控えるなどの判断が可能になると考えています。
また、「血中酸素飽和度」を管理することで、感染拡大の防止にも寄与していきたいと考えております。
テレワークの普及や健康診断の延期などによって、従業員の健康状態は見えにくくなっており、それに伴い、管理も難しくなっている。
コロナ禍においては従業員を健康管理する新たな仕組みが必要となる。このようなアプリはその役割を担う可能性を秘めているし、そうなることを期待したい。
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