日本初の取り組みとして、メーカーと自治体が協定を結び、環境配慮型マットレスの普及を促進することが発表された。専門家は、企業と自治体が協力することで、持続可能な社会への移行が期待できると指摘する。

寝具でサステナブルな社会を促進

環境に配慮したマットレスの普及を促進する日本初の取り組みとして、寝具メーカーのエアウィーヴが、茨城・つくば市、愛知・幸田町と協定を結んだ。

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今回結んだ協定の内容は、エアウィーヴの対象となるマットレスを購入した住民に対して、市や町が購入費の一部を補助するものだ。

また、エアウィーヴは、つくば市で廃棄されるマットレスの回収費用を負担する他、幸田町で回収されたエアウィーヴ製マットレスを、再びマットレスで製品化する水平リサイクルを行う。

エアウィーヴ・高岡本州会長:
日本で初めて環境配慮型の寝具を促進する、官民の連携プロジェクトをスタートする。このサステナブルな未来の地域社会に貢献しようということ。

自治体が購入費の一部を補助し、環境に配慮したマットレスの普及を促進する取り組みは、国内で初めての試みだ。

睡眠の質向上で経済活性化に期待

「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
今回の試み、取材されたとのことですが、いかがでしたか。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」を通してリサイクルを進めるのは、つくる企業と、つかう人の他に、自治体が果たす役割が大きい。

環境配慮型のマットレスであるエアウィーヴを購入した地域住民に、自治体が購入費用の一部を補助するというような分かりやすく、お得な取り組みは、環境への負荷の軽減が進むことが期待できる。

堤キャスター:
寝具のように、毎日使うものには気を配りたいですよね。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
エシカルなだけではなく、購買の背中を押すきっかけがあるとよく、それが寝具の場合は、質の良い睡眠が期待できること。

いい睡眠が十分に取れていないことで、仕事のパフォーマンスが落ちることは、多くの研究が指摘していて、日本での経済損失は約15兆円にもなるという試算もある。

堤キャスター:
快適な睡眠は、毎日をいきいきと暮らすために大切なことですよね。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
いい眠りを誘うマットレスは、ベットや布団の大きさと連動する商品のため、サイズに応じて3万〜12万円と比較的高額商品となっているものの、多くは5年以上の耐久性があるとされている。

人生の3分の1は眠っているとされ、その間、寝具を使っていることを考えると、なかなかコストパフォーマンスがいいように思うが、買い替えの際に、それまで使っていた寝具の多くはゴミとして処分されている。

規制のない寝具のリサイクル率は2%以下

堤キャスター:
今、様々な製品がリサイクルされているのに、それが寝具では、なぜ進まないのでしょうか。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
例えば、自動車は99%、家電は80%がリサイクルされている。こうした高いリサイクル率を促しているのが、様々な規制の整備だ。

これに対して寝具に関しては規制がなく、リサイクル率は2%以下になっている。寝具に関するゴミ問題の解決に向けて、エアウィーヴ製品は、リユースやリサイクルが可能な素材で作られている。

持続可能な取り組みが、様々な製品、色々な場で広がることを期待したい。

堤キャスター:
毎日の睡眠の拠点となる寝具において、寝心地の良さは譲れないものです。その一方で、私たちの生活に寄り添うものだからこそ、環境にも配慮したものが広がっていくことを期待したいです。
(「Live News α」5月30日放送分より)

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