一般ドライバーによる「ライドシェア」の拡大を目指し、超党派の議員が河野デジタル相に提言を提出した。
提言は法整備を求め、2024年内の結論を促している。
専門家は、地域のニーズに応じた慎重な検討と、実証実験の重要性を指摘している。

ライドシェア「年内に結論」提言提出

一般ドライバーが自家用車を使って有料で乗客を運ぶ「ライドシェア」の拡大に向けて、超党派の議員が河野デジタル相に提言を渡した。

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提言は、超党派のライドシェア勉強会が河野デジタル相に提出した。

提言では、一部の地域の導入にとどまっている「日本版ライドシェア」の全国への拡大を目指し、タクシー会社以外の事業者の参入を可能とする法整備などについて、政府に2024年内にも結論を出すよう求めている。

超党派ライドシェア勉強会 会長・小泉元環境相:
ライドシェアというさまざまな議論がある中で、年末までに結論を出すことを目指して、具体的な検討を進めていく。

小泉氏は、新規参入に慎重な意見もふまえ、最終的に首相の判断になると思うと述べた。

地域の需要とドライバー確保に焦点

「Live News α」では、働き方に関する調査・研究を行っているオルタナティブワークラボ所長の石倉秀明さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
——ライドシェアの制度検討、どうご覧になりますか?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
地域によって異なるニーズが、一緒に議論されているという印象。

具体的には、地方で高齢者が多く、車がないとどこにも行けないようなエリアで、地域の足になり得るのか。観光地でインバウンドの盛り上がりで、タクシーが足らない対策はどうするか、そして東京のように、タクシーが捕まりにくいというケースがある。

何でもかんでも「ライドシェア」を解禁したら解決するというのは、見通しとして少し雑な議論ではないか。

堤キャスター:
——それぞれのケースに、どんな期待や懸念があるのでしょうか?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
地方の高齢者が、どこかに出かける足として、個人が自家用車で近所の人を相乗りして送っていくようなライドシェアは、本格的に早く検討していかないといけない。

一方、東京のような大都市で、タクシーが捕まりにくい課題がライドシェアで解決するのか考える必要がある。

 例えば、タクシーのニーズの強い、雨の日や深夜などの時間帯に、個人として稼動したいという人が多くないといけない。

食事を運んでくれるUber Eatsでも、本当にデリバリーを頼みたい天気の悪い日などは、配達員がいなくて頼めないことが少なくない。もしこれと同じことが起きるのであれば、ライドシェアで解決しないことになる。

実証実験に基づく決定の手順に疑問

堤キャスター:
——制度を整える際のポイントは、どこになるのでしょうか?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
実証実験を通して、本当に地域の交通手段の課題が解決するのか、ライドシェアに参加する個人のドライバーさんがいるのか、これを確かめる必要がある。

それなのに、今のライドシェアの実証実験はタクシー会社しか実施できず、本当に検証ができているのか疑問。

このタイミングでライドシェアを解禁する・しないの二択ではなく、しっかりとデータやエビデンスに基づいた意思決定ができるプロセスを構築して、それがオープンになればいいなと思う。

堤キャスター:
ライドシェアの一番の目的である交通の空白を補うために何が最善なのか、メリットや課題を分析して、さまざまな角度からの議論が必要なように思います。
(「Live News α」5月29日放送分より)

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