新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、国会では“コロナ禍”における審議のあり方をさらに模索する。参議院では史上初めて海外の議会とリモートで意見交換を行う見通しとなった。

複数の関係者によると、参議院の議院運営委員会では、議員の中から感染者が出た場合はもちろん、コロナ禍で社会活動のあり方が変容していく中で、議会運営のあり方を検討するため、イギリス・スペイン両国の議会と、近くリモートで意見交換する方向となった。具体的には外務省などを通じ調整がされている。

イギリス議会では 今年4月下旬から、議場での新型コロナウイルスの感染を防ぐため、インターネットを使ったテレビ審議を開始した。これは約700年続く英国議会の歴史上初めての試みで、議員650人のうち、議場に入る議員を閣僚など50人までに制限し、入れなかった議員は、ビデオ会議アプリを使って審議に参加した。

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これまで日本の参議院では、議員の中から新型コロナの感染者が出た場合の対応策をとりまとめたほか、本会議において議員同士の「密」を避けるために座席を1つ空けて着席する形で開催してきた。一方の衆議院本会議でも、議員を2つのチームに分け、採決以外の際は半数の議員はテレビで審議の様子を見るなどの対応を行ってきた。

日本の国会では、憲法56条の「両議員は各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない」との規定に基づき、「出席議員」の解釈は、「現に議場にいる議員」と解釈され、国会への物理的な出席を前提としたルールが作られてきた。

そういった憲法の規定の範囲内でどのように国会の機能を維持するか、それ以上の改革が必要かどうかも含め、参議院ではリモート国会の先進国とも言われる海外の議会から学び、意見交換したい考えで、5日の議院運営委員会理事懇談会で今後の方向性について議論することにしている。

(フジテレビ政治部)

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