大相撲夏場所で23歳の新小結・大の里が初優勝。
史上最速となるデビューから7場所での優勝、“令和の怪物”が、その力を見せました。

この記事の画像(19枚)

大の里:
きょう、こうやってチャンスをものにできて、優勝できたってことは、すごいうれしいです。優勝する姿を石川県の方に届けられたことが、1番うれしいです。

そんな、ふるさとの石川県でも、千秋楽を多くの人が見守っていました。
そして優勝の瞬間には、パブリックビューイング会場に大歓声が響き渡りました。

会場を揺るがす大歓声
会場を揺るがす大歓声

地元の子供:
声が出なくなるまで応援しました!

地元の子供:
石川県の大の里が勝ってみんな喜んでいたから、優勝しておめでとう!って思いました。

優勝後のパレードでは、息子の雄姿を見守る父・知幸さんの姿も…。

大の里の父・知幸さん:
すごいの一言、とんでもないね、びっくり!

新三役での優勝は67年ぶりと記録ずくめの初優勝となった大の里。“令和の怪物”、その素顔に迫ります!

「小さい子に憧れを持たれるような力士に」

初日の横綱・照ノ富士、その後、大関・霧島、大関・琴櫻ら上位陣を立て続けに撃破し、12勝3敗での初優勝。

相撲取材歴36年の相撲ジャーナリスト・横野レイコ氏は、初日の照ノ富士戦での勝利が大きかったと話します。

相撲ジャーナリスト 横野レイコ氏:
初日の勝ちが大きかったと本人も言っていましたし、新小結って前半に横綱、大関と当たるので体力を消耗するんです。初めてだし。にもかかわらずこの連勝。優勝争いでずっとトップで最後まであんないい相撲を取る。これはもう“ただ者”ではありません。

――さらなる出世も期待できると?
もちろん、みんなが期待しています。それはテッペンまでいってもらわないと。

7歳の時に、アマチュア相撲をしていた父が息子の体格を見てすすめたことで、相撲を始めたという大の里。日体大時代は、3年生、4年生と2年連続全日本選手権で優勝、アマチュア横綱に輝きました。

2023年7月に行われた十両昇進時の会見では、関取となって初めて手にする給料の使い道を問われると、「高校時代の監督の奥さんに『上に行ったら牛1頭買います』と約束したので、今すぐではないけど、いつか牛一頭買えるように頑張りたい」と話し、目標について問われると…。

大の里:
誰からも愛される、小さい子に憧れを持たれるような力士になりたい。

今年の初場所で初入幕し、初めてもらった懸賞金は、父親にプレゼントしたといいます。受け取った父・知幸さんは、満面の笑顔。

そんな、大の里の“勝利の原動力”のひとつに、「ファンの声」に応えられない“悔しさ”がありました。

4月に行われた夏場所番付発表会見では、初場所で11勝した際は「すごかったね」と言われたが、3月場所で11勝した際は、優勝争いに絡んでいたこともあり「惜しかったね」と言われたといい、「街を歩いて、飲食店に行ってもあとちょっとだったと100回くらい言われた。そこですごく悔しい気持ちになり悔しさが増した」と話していました。

村上佳菜子氏:
アスリートあるあるというか…すごいことなんですよね、11勝あげることって。でもやっぱり期待もあるから、惜しかったねに変わってしまうんだけど。言われている方は、全力で頑張っているんだから!という気持ちもあって、その悔しさが勝利につながっていったんだと思いますけど、アスリートは悔しい気持ちが一番のエネルギーだと思うので。もう悔しかったと思うけど、こうしてつながったことは良かったのかなと思います。

相撲ジャーナリスト 横野レイコ氏:
春場所の千秋楽に二所ノ関部屋に行ったんですけど、本当に悔しそうで。「初場所はうれしかったけど、今場所は本当に悔しいです。次頑張ります!」ってもうすごい言っていたので、その悔しさが今回の優勝につながったんだと思います。

父の号泣…今後“大関昇進”は?

千秋楽を国技館で観戦した父・中村知幸さん。息子の優勝が決まった瞬間、大粒の涙を流す様子が何度も中継のカメラに捉えられていました。

時を同じくして、優勝後、土俵の上で涙を流した大の里。
祝賀会で、涙の理由について聞かれると…。

新小結・大の里:
やっぱり1年前デビューした場所で、1年後優勝出来ることが想像してなかったんで、うれしくてちょっと泣きましたね。

照れながら父と握手する大の里
照れながら父と握手する大の里

その後、父と握手を交わし、照れくさそうに「もういいって」と帰そうとする場面もありました。

横野さんの取材によると、父・知幸さんは、「きょう飲んだビールが今までで一番おいしかった」と話し、優勝後に号泣したことについては、「感極まって興奮していたので、覚えていない」ということでした。

相撲ジャーナリスト 横野レイコ氏:
あそこのビールというのは、普通は口を付けるだけで大体ほとんどの人が残ったりするのですが、お父さんは一気に飲んじゃった(笑)。
でも分かります、お父さんもアマチュア相撲をやっていて、お父さんが最初に息子に相撲を教えたでしょう?いろんな大会も父子で一緒に見に行って。この喜びは親子で勝ち取った優勝でもあるから。これくらい喜んでも許してあげてほしい。
だけど、息子は知っているから、お父さんのキャラクターを。だから「もういいって」ってなっちゃうの。

――大の里の今後について
大関昇進の目安として、3場所連続三役で合計33勝というのがありますので、普通なら大関挑戦は今場所の小結からスタートで、7月の名古屋場所頑張って、9月場所が大関挑戦となりますが、ずっと二桁勝っていますし、連続優勝ということになれば、一気に名古屋場所で大関昇進という声も上がってくるかもしれません。
師匠は初優勝までに15年かかっているのが、弟子は7場所、1年でしょ?でも師匠は相撲の怖さを知っているから、ここで浮かれてはダメだと。また一から四股すりやステップを鍛えてやっていきます。
これから本当に、大の里を中心に、新しい地図が相撲界、ひかれると思います。
(「めざまし8」5月27日放送より)