東京・国分寺市で2022年11月、認可外保育施設で1歳5カ月の女の子がリンゴをのどに詰まらせ、死亡する事故が発生した。
21日に公表された内容によると、女の子は眠そうな様子だったため、保育士が指でリンゴを取り出そうとしたが、泣き出したあとにぐったりしたという。

2cm四方・厚さ3mmのリンゴ詰まらせ…

東京・国分寺市の認可外保育施設「さかのうえ ふれあいえん」で2022年11月、リンゴをのどに詰まらせ、幼い子どもの命が奪われる事故が発生した。

この記事の画像(12枚)

事故の公表から一夜明けた22日の朝、JR国分寺駅近くのビルの中にある「さかのうえ ふれあいえん」では、保護者に手を引かれながら登園する子どもたちの姿が見られた。

都の検証委員会の報告書などによると、1歳5カ月の女の子が給食でリンゴをのどに詰まらせ搬送されたが、その後死亡した。

女の子が食べていたリンゴは、大きさが2cm四方・厚さ3mmほどで、女の子は、リンゴを食べた際、眠たそうな様子だったため、保育士が女の子を立たせて、口に指を入れてかき出したところ、泣き出したあとにぐったりしたという。

亡くなった女の子は、自宅ではすりつぶしたリンゴを食べていたが、保育施設内ではこの情報が共有されていなかった。

22日、話を聞いた保護者が事故を知ったのは、子どもを入園させる前だったという。

保護者は「子どもを預けるにあたって、対策されているかは正直不安はないと言えばウソになる。(この保育施設)しかないというところで、(子どもを)入れるという判断に至った」と話している。

報告書では、保育士の対応について「食事中に子どもを驚かせてしまうと、急に息を吸い込み、食べ物が気道に詰まる危険がある」とした。

そのうえで、眠気のある子どもに食事を与えるリスクを指摘している。

報告書によると、2016年以降、保育施設などで子どもが食べ物をのどに詰まらせる重大事故は全国で10件発生しており、そのほとんどが、0歳から1歳児の離乳期に移行してまもないころの子どもだった。

1年前の2023年、愛媛・新居浜市の保育園で給食のリンゴを詰まらせてしまった康至くん(事故当時生後8カ月)は、1歳8カ月になった今も意識不明のままだ。

声を発することも、両親の声がけに反応することもなく、自発呼吸ができず人工呼吸機に頼り、食事できないため、鼻から胃に通した管で体に栄養を送っている。

康至くんの両親は、今も抑えきれない悔しさと憤りを感じていた。

康至くんの父親は、「小さいことが積み重なって起きてしまった事故なのかな」と話す。
康至くんの母親は、「きちんと子どものために何が大切かということを、話すことができる現場が一番大切だと思う」と話している。

康至くんの両親は、今回の事故を受けて、「東京の事故も早く報道していたら、康至の事故も未然に防げていたと思う。関係各所への報告、報道はしっかりと、全国的に注意喚起ができるようにしていただきたい」とコメントしている。

眠そうなときは事故リスク高まる

なぜ、保育園などで食べ物を詰まらせる事故が相次いでいるのだろうか。

2022年11月には東京・国分寺、そして2023年5月に愛媛で起きた事故。
その時に出されたリンゴの大きさは、国分寺では各辺約2cm・厚さ約3mmで、愛媛では長さ7mm・厚さ3mmのリンゴだった。

2つの事故はリンゴだったが、リンゴに限らず同様の事故は起きていて、注意が必要だ。

のどに詰まらせやすい食べ物について、国の事故防止ガイドラインでは、ミニトマトやうずら卵などの丸いものや、こんにゃくなどの弾力があるもの、豆類などのなめらかなもの、さらに白玉団子などの粘着性の高いものなどが挙げられている。

それ以外にも、塊肉のような硬いものやパンのような唾液を吸うもの、ブロッコリーのような口の中でバラバラしやすいものなどが挙げられていた。

国分寺の事故では、園児が食事中に眠くなる様子があったということだが、眠そうにしていると事故のリスクは高くなるのだろうか。

小児科医の山中龍宏さんによると、子どもが眠そうなときは、かみ切れていない食べ物が口の中に残っているため、小さい子どもだと、ふとしたことで泣いてしまい、その瞬間に息を吸ってしまうのと同時に、食べ物が気管に吸い込まれて、詰まってしまうという。

もし、のどに詰まってしまった場合、どうすればいいのだろうか。

東京消防庁によると、乳児がのどを詰まらせた場合には、2つのやり方がある。

1つ目が、背中をたたく「背部叩打法(はいぶこうだほう)」という方法で、2つ目が、腹部を圧迫する「腹部突き上げ法」だ。

「背部叩打法」では、うつぶせになった乳児の背中を強くたたいて、詰まったものを取り除く。
この背部叩打法で詰まったものが出なかったときは、1歳以上の場合は腹部突き上げ法を試すということだ。

詰まらせた際に実施する「背部叩打法」のくわしいやり方を見ていく。  

まず、乳児をうつ伏せにし、足の間からおなか側に腕を通し状態を固定する。
手で乳児の下あごを支えて突き出し、上半身がやや低くなる体勢にし、手のひらの付け根で肩甲骨の間を4回〜5回強くたたく。

この方法で異物が出なかった場合は、腹部突き上げ法を試すということだ。

この2つの方法については、東京消防庁の公式YouTubeチャンネルに動画が掲載されており、子どもの命を救うために、対処法を事前に確認しておくことが大切だ。
(「イット!」 5月22日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(12枚)