絵や音楽など芸術的な分野に苦手意識を持っている人もいるだろう。絵があまり得意でない人は、どこから描き始めるかも悩みのタネではないだろうか。

そんな中、素早く簡単に描いているように見える絵の描き方が話題となっている。

それがこちら。

セキセイインコ

水彩作家の「すずきあやえ」(@_cocotto)さんが、Twitterに投稿した動画には、色が塗られていない状態でセキセイインコの顔や羽、脚などがすでに和紙に描かれている。しかし、全体の輪郭は描かれていない。
この段階でインコの絵を描こうとしていることがわかるから流石だが、ここからどう仕上げていけばいいのか分からないという人もいるだろう。

すると、水性の絵の具で顔の部分から大胆に色が塗られていく。水性の絵の具ならではの優しいタッチがセキセイインコの可愛さを表現していて、和紙に絵の具がいい感じで滲んでいく。続いて体の部分の色を塗って完成したが、その時間はわずか25秒。

結局、輪郭は一切描かずに色を塗るだけで絵が完成したのだ

輪郭を描かず色を塗っている

Twitterでは「すごい!あっという間にインコちゃん」「黄色と緑色の線引きが絶妙」など声があり、約3万5千件のいいねがつくなど、話題となっている。(8月6日現在)

なぜこのような絵の描き方をしているのか?そして我々もマネできるような上手に描くコツはあるのか?投稿者で水彩作家の「すずきあやえ」さんにお話を伺った。

こういう絵を描きたいと想像しながら描く

ーーなぜ作品を投稿しようと思った?

普段は星空や風景を水彩画で描いて、イベントや展示に参加して活動しているのですが、 コロナ禍で作家活動にも制限があることや、おうちで過ごす時間が増えていることから自宅からの発信で絵を楽しんでもらおうと思い投稿しました。


ーーなぜこのような描き方をしている?

SNSに載せることが前提だったため、短時間の動画で絵が完成したら面白いんじゃないかと思い、この描き方に至りました。

また、和紙に水彩を使った時にどんどん色が滲む様子が描いていて楽しかったので、その特徴を活かして絵を描いたら面白そうと思ったからです。


ーー絵を描く時のポイントを教えて

なるべくシンプルに形をとらえることでしょうか。こういう絵を描きたいと想像しながら描くことだと思います。また、画材の組み合わせによって絵の雰囲気も変わるので、まずはお気に入りの使いやすい画材を探すこともポイントだと思います。


ーー輪郭を描かずにどうイメージする?

先に参考になる資料や写真を調べて、別紙に形のメモをとることもあります。とはいえ、最終的には絵の具のにじみ具合に左右されて、その通りには描けないことが多いのでそれもこの描き方の味と捉えて楽しんでいます。あとは「こういう完成図が見たい」というのを頭で想像しながら描いています。


ーー例えば人間を描くときはどこから描く?

人間は目から描くことが多いですが、まだまだ人間は苦手意識が強いので練習中です。

下描きなしで描いています

ーーどんな道具を使って描いている?

今回は株式会社オリオンの「麻王」という和紙に、色鉛筆と油性ボールペンで顔や足を描き透明水彩絵具で着色しています。普段の星空の絵等は水彩紙を使用しています。画材がとても好きで、気になったものは海外から取り寄せたりもするのですが好きな画材の組み合わせを見つけるのがとても楽しいです。おかげで手持ちの絵具だけでも500色は超えています。


ーー下描きはしている?

今回の動物の絵では描いていません。顔や足のパーツは和紙に色鉛筆で直接描き、輪郭等も下絵なしでそのまま描いています。​


ーー色を塗るときのポイントは?

追加で同じ濃さの色を作ることが難しいので多めに絵具をといて、別紙に試し描きをしながら筆の水加減や絵具の含みを調整しています。また、同じ色名でもメーカーによって色や絵具の伸びが少しずつ違うので絵具の色見本を自作してファイリングし、使う色を選んでいます。


ーーあまり迷わず思い切りが大事?

描きながら紙の上で迷っていると和紙のにじみがどんどん広がってしまうので、筆を動かしはじめたら勢いでどんどん描くようにしています。失敗したら描き直そう、くらいの感覚かもしれません。


ーー誰かに習った?独学?

小学校の頃だけ、絵画教室へ週1で通っていましたが、その後授業以外で水彩を習ったことはありません。絵を描くことやものづくりが好きだったので大学ではデザインを学んだのですが、その時に透明水彩画に憧れて絵具を購入し、独学で描き始めました。

お子さんとも一緒に楽しめるのではないか 

ーー一般の人でも簡単に描ける?

描けます。多くの方に実際に描いてもらいたいです。


ーーこの描き方の良さは?

細かく筆を動かさないので、おうち時間にお子さんとも一緒に楽しめるのではないかと思っています。また、滲みによってふわふわとした絵になるのでおうちのわんちゃん・ねこちゃんを描くのにも適していると思います。


ーー一般の人に向けて絵を上手に描くコツを教えて

描きたいものの形をよく見ることと、使う画材に慣れることだと思います。「この描き方じゃないとダメ」というのもないと私は思っているのでいくつか描いていく中でそれぞれの理想に近づけていければいいと思います。私もまだまだ未熟な身なので、画材も描き方もいろいろ試しています。

ーー他の作品も投稿している?

インコ以外にもオオカミやペンギンなどの作品を投稿しています。これからは他の動物にチャレンジしていきたいです。


ーー反響はあった?

予想以上に反響がありました。

絵を描く時に迷わず描く。絵を描く前に完成のイメージをしておく。
絵心がないと自分で思っている人には最初はハードルが高いかもしれないが、和紙に水性絵の具を滲ませるお絵かきは確かに子どもとも楽しめそうだ。新型コロナウイルスの影響で家にいる時間が多くなるこの時期に是非試してみてほしい。
 

【関連記事】
2つのレモンのどちらかが絵!? 写真のように描くコツを作者に聞いた