大型連休中、長野県内で車両火災が2件起きた。いずれも車内に置いてあった「モバイルバッテリー」から出火した可能性があるという。NITE(製品評価技術基盤機構)は「熱の影響で発火する可能性がある」とし、特に夏場は車内に放置しないよう呼びかけている。
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車の窓を割って放水
車から煙が上がっている。車内にも充満し中をうかがうことができない。
5月5日午前10時ごろ、長野市のコインパーキングで車両火災が発生。
駐車場の利用者が消防に通報した。

消防が現場に到着ー。
車には鍵がかかっていたため、窓を割って放水。すぐに火は消し止められた。
車の所有者は県外からの観光客で出火当時は車から離れていて、けが人はいなかった。

モバイルバッテリーから出火か
車両火災の原因は…?
車両の後ろが激しく燃えていた。
近くに置いてあったのが、スマートフォンの充電などに使うリチウムイオン電池内蔵タイプのモバイルバッテリー。
消防は車内に放置されていたバッテリーから出火した可能性があるとみて調べている。

長野県内では5月4日にも佐久市内でモバイルバッテリーが火元とみられる車両火災が起きている。
衝撃を加えたり高温の状況で放置したりすると火が出る可能性があると製品評価技術基盤機構・NITEが注意を呼びかけている。

夏場 車内に放置すると…
NITEの実験映像。
夏場、車のダッシュボードに放置したままにすると、徐々に変形していき、煙が上がる。

そして、火が出た。
一般的にモバイルバッテリーは45度以下での使用・保管が適切とされている。

JAFによると、気温35度の場合、車内の温度は1時間ほどで50度を超える。
ダッシュボードは70度以上になるという。

5月5日の長野市の最高気温32.9度、車内は45度以上になっていた可能性がある。
NITEは特に夏場などはモバイルバッテリーを車内に放置しないこと、また衝撃を加えないことを呼びかけている。

40度超…破裂して発火する可能性
NITEの山崎卓夫さんは「(多くの製品が)40度を超えるような条件に置くと、最悪、破裂して発火する可能性があります。特に自動車内ですとか、熱がこもるような場所では気温よりも思った以上に温度が上がっていて大変危険」と話す。

「粗悪品」は充電しているだけでも
高温や衝撃以外でも火が出るケースがある。
2024年2月、東京・山手線内で乗客の男性のかばんの中に入っていたモバイルバッテリーが発火。
男性は「熱い」などと言いながらバッテリーを床に投げて立ち去ったが、けが人などはいなかった。

再びNITEの実験映像。
充電していただけにもかかわらず、発火不純物が混ざっているなど「粗悪品」の場合、発火する可能性があるという。

取り扱いは十分注意を
NITEはインターネットなどで安い製品を買う場合は注意してほしいとしている。
山崎さんは「高温下に長時間保管したりせずに、落としたり、曲げたり、強い力がかからないように丁寧に扱っていただいて、事故が起こらない工夫をして気をつけて安全に使っていただければ」と話す。
どこでも充電ができる便利なモバイルバッテリー。
しかし、火災につながる恐れも…。
取り扱いには十分注意が必要だ。

(長野放送)