総務省は4月30日、5年ごとに実施している「住宅・土地統計調査」の結果を発表した。長野県内の空き家は2023年10月現在で20万7000戸。5年前より1万戸も増えた。空き家率は全国で6番目に高い20%で、5戸に1戸が「空き家」という状況。維持・管理に頭を悩ませている人も多い「空き家」。長野県駒ヶ根市は、悩みを解消し、利活用や適正管理につなげようと相談窓口を設けている。
管理が大変、安くしてでも売りたい
駒ヶ根市役所の窓口。
この日、名古屋市の親子が市内にある空き家の売却について相談に訪れた。
築52年の1戸建て住宅を所有しているが、住んでいた叔父がなくなり4、5年前から空き家となっていた。
この記事の画像(8枚)2人は「安くしてでも売りたい。様子を見に行くのも簡単にはいけないし、単純に固定資産税もかかるし困りますね、管理が大変。売りたいなって気持ちで、買ってくれる人がいたら喜んで」と空き家を所有する悩みを打ち明けた。
対応したのは、移住などを担当する部署の職員。
5月1日から月に1度、空き家に関する相談日を設けた。
駒ヶ根市役所の移住・交流促進室の松崎しのぶ室長は「空き家を持っている方が、空き家をどうしていいか分からないとか、空き家の相談をどこにしていいか分からないという声をすごく多く聞きましたので、相談の敷居をちょっと下げてもらおうと始めました」と話す。
増加する空き家 懸念される放置
全国的に増えている空き家。
長野県内では2023年の調査で20万7000戸に上り、5戸に1戸が「空き家」となっている。
駒ヶ根市でも2020年の調査で328戸が確認されていて、その後も増えているとみられる。
増加とともに懸念されるのが、空き家の放置。
松崎室長は「放置しておくと草が生えてしまって、その草が隣の家にいってしまったり、庭木がうっそうと茂ってくるとさまざまな問題が出てきます」と注意すべき点を話す。
駒ヶ根市ではまだないが、県内では、放置されて倒壊の恐れがある空き家を行政代執行で解体するケースが増えてきている。
悩んでいる人は積極的に相談を
こうした空き家の放置を防ぐため、市は、物件情報をサイトに載せて利活用を進める「空き家バンク」を行っているほか、改修や片付けの費用の一部を補助して適正管理につなげようとしている。
窓口では、空き家バンクの登録方法や補助金の申請方法などもわかりやすく教えてくれる。
宮田村から相談に訪れた人は「負の遺産じゃないですけど、空き家を解体するのもお金がかかるし、市の方に相談して空き家バンクに登録させてもらいました。(家の中の)片付けの費用、今、補助してもらうってことで申請したんですけど、助かります」と話す。
松崎室長は「どんどん空き家も増える一方だと思うので、その中でまだまだ利活用できる空き家に人が住んでもらうことで空き家の解消、地域コミュニティーの維持にもつながるので、空き家が売れて地域が活性化していくのにつながれば一番いい」と話し、空き家の管理に困っている人は、積極的に相談してほしいとしている。
(長野放送)