厚生労働省は、年金の将来の給付水準を点検する今年夏の「財政検証」で、国民年金の保険料の納付期間を、現行の「60歳まで」から「65歳まで」に5年間延長した場合の給付水準について試算する方針を固めた。
FNN世論調査では、先々、国民年金の保険料納付が65歳まで延長となることの賛否について質問したところ、「賛成」42.0%、「反対」49.9%となった。
保険納付の延長 若年世代「賛成」多数も50代は「反対」が多く…
65歳までの保険納付の延長は、“将来世代”にとっては年金給付の原資の拡充にもつながることから、年代別に見ると、若年世代では、「賛成」が多く、納付延長を控えることになる50代では、「反対」が多い結果となった。
20代まででは「賛成」44.9%、「反対」49.9%、30代では「賛成」37.0%、「反対」58.9%、40代では「賛成」33.6%、「反対」59.4%、5年延長の年齢が目前となる50代では「賛成」27.5%、「反対」67.9%と反対の割合が最も高くなった。
さらに、年代が上がり、今回の保険料納付の延長年代以上になると、「賛成」が一気に増加して「反対」を上回り、60代では「賛成」50.5%、「反対」40.3%、70代以上「賛成」52.2%、「反対」34.1%となった。
この記事の画像(3枚)【国民年金の納付5年延長】
賛成 42.0%
反対 49.9%
【国民年金の納付5年延長 年代別】
賛成 反対
20代まで 44.9% 49.9%
30代 37.0% 58.9%
40代 33.6% 59.4%
50代 27.5% 67.9%
60代 50.5% 40.3%
70代以上 52.2% 34.1%
「子育て支援金」“もらえる世代”と“貰えない”で賛否に世代間差
同じく社会保障分野で、こちらは岸田政権が、今国会での法案成立を目指している「子ども・子育て支援金」についても、公的医療保険料への負担増となることの賛否について質問した。
「子ども・子育て支援金」をめぐっては、政府が新たに、公的医療保険料の負担額が加入者1人あたり月平均で450円上乗せとなる試算を公表した。この保険料上乗せについて賛否を聞いたところ、「賛成」36.3%、「反対」59.1%となり、政権の目玉政策に全体では、3分の2の有権者が反対の考えを示した。
これを年代別に見ると、20代まででは「賛成」46.1%、「反対」47.2%と賛否が拮抗、30代は「賛成」37.4%、「反対」59.8%、40代では「賛成」33.0%、「反対」64.6%、50代「賛成」31.6%、「反対」66.5%と、年代が上がるほどに、反対意見が多くなる結果となった。
ただしさらに年代があがると「賛成」が増えて60代では「賛成」37.0%、「反対」58.0%、70代以上では「賛成」35.4%、「反対」57.3%となった。
医療保険料の上乗せは、収入が増えると上乗せ額も大きくなることから、収入が増えるに従って、「反対」意見が増え、収入がピークアウトしていく60代以上の世代では、「反対」が減っていると見ることができる。また「子ども・子育て支援金」は、妊婦のための支援給付や、乳児などへの支援として「こども誰でも通園制度」また、児童手当の高校生までの支給期間延長などが含まれ、「子ども・子育て」世代には、比較的「賛成」が多くなっていることがうかがえる。
【「子育て支援金」のための医療保険料上乗せ】
賛成 反対
全体 36.3% 59.1%
20代以下 46.1% 47.2%
30代 37.4% 59.8%
40代 33.0% 64.6%
50代 31.6% 66.5%
60代 37.0% 58.0%
70代以上 35.4% 57.3%
公的社会保障は、世代間の支え合いの構造で、負担と受益が世代によって濃淡がつく制度となっている。年金制度は「100年安心プラン」など政府は、世代間の支え合いを標榜するが、制度変更の賛否では、現在の受益・負担を元に判断する傾向が見られる結果となり、政策実行には、全世代からの賛意は得にくいことが改めて浮き彫りとなった。
(フジテレビ政治部デスク 西垣壮一郎)