"アベノミクス”推し進めた経済政策、五輪招致

持病の悪化により、辞任を正式に表明した安倍首相。
これまでの7年8カ月の道のりを振り返る。

安倍首相(2012年12月):
本日、第96代内閣総理大臣を拝命いたしました。
私は1年間で終わらざるを得なかった政権の担当者として、大きな責任を感じています。
(政治の)混乱と停滞に終止符を打つためにも、安定的な政権運営を行っていくことが我々の使命であろうと

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2012年12月に発足した第2次安倍政権。
民主党から政権を奪還し、危機突破を掲げ、まず着手したのは経済再生だった。

安倍首相(2013年1月):
大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略という「三本の矢」で、経済再生を推し進めます

安倍首相(2013年9月):
バイ・マイ・アベノミクス(アベノミクスは“買い”だ)!

その合言葉となったのが「アベノミクス」

自ら任命した黒田日銀総裁とともに、2%の物価上昇目標を掲げ、金融緩和と財政出動を進めた結果、株価は大きく上昇。
日本経済に一定の景気回復をもたらした。

安倍首相(2013年9月):
♪より高く、より強く(前東京五輪愛唱歌『海をこえて友よきたれ』より)

さらに、自らも奔走したのがオリンピックの東京招致​
運命のIOC総会では、官民一体での尽力により東京招致を実現。開催に向けて取り組んできた。

活発な首脳外交を展開…安保法制などを成立

外交面では「強固な日米同盟」「地球儀を俯瞰する外交」「積極的平和主義」を掲げ、活発な首脳外交を展開。
2016年5月のG7伊勢志摩サミットでは、議長として経済危機の克服に向けた協調をアピールした。

アメリカのトランプ大統領とは“蜜月関係”を構築。

日米同盟強化のひとつとして、2015年には激しい反対デモの中、集団的自衛権の行使を一部容認する安全保障法制を成立させた。

また、労働者派遣法や働き方改革法、テロ等準備罪法、TPP関連法なども賛否が分かれる中で成立にこぎつけてきた。

一方で「政権の驕り」指摘も…

これまで衆参5回の国政選挙で、すべて勝利を収めてきた第2次安倍政権。

一方で、長期政権によるゆがみも指摘され、森友学園への国有地売却、加計学園による獣医学部の新設、防衛省の日報問題などは大きな不信を招く結果に。

森友学園問題・加計学園問題では、安倍首相や昭恵夫人と関係のある人物に便宜を図ったのではないかと追及を受け、官僚による忖度の問題も指摘された。

安倍首相(2017年8月):
深く反省し、国民の皆様におわび申し上げたいと思います

また、2019年には「桜を見る会」をめぐる問題も、政権の驕りや緩みの象徴として批判を受けることとなった。

“コロナ禍”での辞任表明

こうした中で迎えた2020年、新型コロナウイルスをめぐる対応に追われた安倍政権。
総額260億円に上る多額の国費を投じ、全世帯に配られた“アベノマスク”は、野党から「税金の無駄遣い」との激しい批判を浴びることとなった。

安倍首相(2020年4月):
使い捨てではなく洗剤を使って洗うことで再利用可能であることから、(マスク不足に)極めて有効であると考えております

安倍首相(2020年5月):
感染拡大を予防しながら、同時に社会経済活動を本格的に回復させていく。
新たな日常をつくり上げるという、極めて困難なチャレンジに踏み出します

さらに、全国を対象に緊急事態宣言を発令するなどの対応に当たったが、国民への給付金をめぐっては方針にぶれが生じる事態も。
1人当たり一律10万円の給付を決断するに至った経緯について、「混乱を招いてしまったことについては私自身の責任であり、国民の皆様に心からお詫びを申し上げたいと思います」と語っていた。

感染対策が引き続き求められる中で、辞任表明することとなった。

(「Live News it!」8月28日放送分より)