松本市（長野県）のパルコ後利用の方針が「白紙」となった。これまで、市とパルコ側の協議で上層階を市が借り上げ、公共施設を整備する方針だったが、3月の市長選などで巨額の公金支出に対する市民の異論が噴出。パルコ側から協議の中止の申し出があったという。
市長選の結果を踏まえ…
4月19日午後1時半から臨時記者会見を開いた松本市の臥雲義尚市長。
「松本パルコ」の後利用方針が「白紙」になったと明らかにした。
臥雲市長は「市長選の結果を踏まえ、商業施設再開と複合施設開業の協議を中止せざるを得ないとパルコ側から連絡がありました。いずれにしても松本パルコ閉店後の対応については、白紙に戻る」と述べた。
市民から巨額の公金支出に異論
2025年2月末で営業を終える松本パルコ。市はこれまで、中心市街地の活性化を目的に、契約期間20年、年間賃料3億円で施設の上層階を借り上げ、図書館などの公共施設を整備する方針で、パルコ側と協議を進めてきた。
しかし、3月の市長選挙で、後利用方針が大きな争点に。臥雲市長が当選したが、方針に反対の次点候補とは数百票差の僅差で、市民の間でも巨額の公金支出に対する異論が噴出していた。
市長「私の力量が足りなかった」
パルコ側からの申し出は、こうした選挙の結果や、市側の方針決定に時間がかかりそうな状況などを踏まえて判断したものとみられる。
臥雲市長は「市としては極めて残念ではありますが、市民の共感と納得なくして見切り発車で進めることはできない。計画を断念することはやむを得ない。時間が足りなかった、私の力量が足りなかった、大きなチャンスを逸してしまった」と述べた。
パルコ側「再検討する」
後利用の方針が白紙に戻ったことについて、街の人に聞くと、「もうちょっと市民の意見を聞いて何年か話し合いをした結果、それだけの税金を使う形だったら納得できるかもしれないと思ってたので、ちょっとほっとしました」、「（税金60億円は）ちょっと高すぎかなと思っていたので良かったな。子どもが遊べる場所ができればいいな」、「利用されないのはいやですね。どうにかいい形に持っていってもらえたらうれしい」などの声があがった。
建物の後利用はどうなるのかー。
パルコは「再検討する」としている。
（長野放送）
