2024年4月6日、群馬・高崎市で犬の散歩をしていたとみられる9歳の女の子が遮断機や警報機のない、いわゆる「第4種踏切」で列車にはねられ死亡するという悲惨な事故が発生した。第4種踏切は福岡県内にも80カ所近くある。この危険な踏切は、なぜなくならないのか?

“死角”から突然電車が…危険踏切

取材班は、福岡市からもほど近い須恵町の住宅街にある踏切に訪れた。JR香椎線の新原駅近くにあるこの踏切は遮断機や警報機もない、いわゆる第4種踏切だ。

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建物と建物の間から突如現れる列車。知らずに通ると、線路があることすら分かりづらいこの踏切には、JR香椎線の列車が多い時間帯で1時間に6本通過する。
近くに住む人たちはどのように感じているのか。

近隣住民:
過去には事故があったけどね。電車が来たらガタンゴトン音がするしね。それでちょっと渡るのやめておこうとかね。気を付けては通っているけど…。

地元の理解と費用が課題に

実は第4種踏切は全国に約2400カ所あり、県内にも福岡都市圏を含め、78カ所存在している。
なぜ、なくならないのか?鉄道事業を監督する九州運輸局に聞いてみた。

九州運輸局 鉄道部の日置勝幸技術・防災課長:
地域住民の方が不便に感じる、移動するのに時間がかかるというのがある。

廃止を決めるのは原則鉄道事業者だが、第4種踏切廃止に向けた大きなハードルは「地元の理解」だ。

九州運輸局 鉄道部の日置勝幸技術・防災課長:
本来であれば危険なのでない方がいいんでしょうけど、迂回(うかい)することで時間がかかったり、それまで静かだったのが警報機によって音が気になる方は気になったり、地域住民の中には反対する方もいる。

点在する第4種踏切は、「近道」を求める地元住民の意向もあり、完全にはなくならない現状がある。

遮断機や警報機が設置できればよいが、九州運輸局によると遮断機と警報機を設置した場合、約2000万円の費用が掛かるという。国から半分ほどの補助金が出るが、残りの1000万円を中小のローカル鉄道が負担しなければならない。

設置費用10分の1「手動の踏切」に期待

こうした中、ある取り組みに期待が集まっている。島根県の東部・雲南市を走るJRの第4種踏切に「手動の踏切」が設置された。バーを自分で持ち上げるシステムで、物理的にいったん立ち止まらせて左右の安全確認をしてもらうのが狙いだ。

導入したJR西日本によると、中国地方の22カ所に2023年10月から設置していて、「導入後に踏切事故は起きていない」という。さらに設置費用は遮断機と警報機の10分の1程度で済み、2時間ほどで設置できるのが大きな特徴だ。

第4種踏切の廃止には様々なハードルがあるものの、九州運輸局は、今後も廃止に向けて鉄道事業者などと連携し取り組んでいきたいとしている。危険な踏切への対策は福岡でも「待ったなし」の課題だ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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