自分が「推す」商品のグッズが別の商品と一緒になって登場するなど、企業同士のコラボレーションがSNSなどを中心に話題となっている。意外とも言われるコラボ商品がなぜ次々に誕生しているのか、背景を探った。
推しのパワーがコラボを支える
お隣佐賀県で誕生した人気のカップ麺や、熊本産のあの牛乳が、“Tシャツ”になって登場した。
![佐賀県の人気カップ麺](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/b/1/700mw/img_b1ba4e8483eafb52b31cc77b128040f2595807.jpg)
![熊本県の牛乳も](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/f/700mw/img_0f6c5b09cceda50409eed16b8ffa7f5f612854.jpg)
様々なコラボTシャツが勢ぞろい!販売しているのは長崎市新地町の「イオン長崎店」だ。総合スーパー「イオン」は2016年から100を超える企業とコラボし、食品や文房具などのTシャツを販売している。
![イオンが手掛けたコラボTシャツは100を超える](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/d/a/700mw/img_daa6b040aedf9fa6517f6a4583d66874764997.jpg)
このうち4月10日から九州の店舗限定で販売されているのが「九州ご当地企業コラボTシャツ」。鹿児島のアイス「南国白くま」や宮崎のジュース「ヨーグルッペ」など九州の10社とコラボしている。
![鹿児島県の人気アイス](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/8/2/700mw/img_826a646d1530b875c029bd54a4077c26586671.jpg)
人気を集めているのが福岡・北九州発祥のうどんチェーン「資さんうどん」。裏には“ぼた餅”が描かれている。
![一番人気は福岡・北九州発祥のうどんチェーン「資さんうどん」](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/d/700mw/img_edc383adbd50f299d7aad01812840d71551372.jpg)
今年で8年目を迎えた企画を支えているのは、その地に住む人たちの“推し”のパワーだ。イオン九州の土谷さんは「それぞれに推しの商品、推しの企業が各県にあるので、購買につながっている」と話す。
長崎は“醤油Tシャツ”
長崎の企業とのコラボは「醤油」だ。イオンは長崎市のチョーコー醤油とのコラボを実現させた。チョーコー醤油は醤油や味噌の製造・販売などで県の内外で親しまれる蔵元だ。「Tシャツでのコラボには驚きを隠せなかった」と話すのはチョーコー醤油企画課の山田昂さん。イオン九州からコラボの話がきたのは2023年12月。Tシャツとのコラボという、これまでにない異業種とのコラボに驚きながらも醤油Tシャツの商品化にGOサインを出した。
![Tシャツとのコラボに戸惑いながら商品化へ](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/c/700mw/img_5cb263c4f21c2a9b6219909c2c4621e6627612.jpg)
完成したTシャツは前に3種類の醤油のボトルとアルファベットでの社名、左袖にはロゴマークがデザインされている。
![人気醤油がTシャツに](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/7/d/700mw/img_7d8f6b792b669b8974df982f5dae477c599378.jpg)
山田さんは「醤油は人気商品で様々なお客が見覚えがあるので、デザインとして採用していただけたと思う」と話す。サイズはSから3Lまでの5種類で生産枚数は400枚。なくなり次第、販売は終了となる。チョーコー醤油としては「チョーコーファンの方はもちろん着て頂きたいし、逆にこのTシャツからチョーコーファンになってもらう形も期待しているので、いろんな方に着てもらえたら」と、顧客の新規開拓につながることを期待している。
アイスにペンギン、飛行機×便せん
最近は異業種の企業コラボ商品が増えている。長崎市の文房具店・石丸文行堂ではオリジナルの小さな便せん「そえぶみ箋」を作っている。
![長崎では文房具とのコラボも](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/a/1/700mw/img_a103154ac7defe22ef10bbf1802341af2093642.jpg)
イラストはペンギンや飛行機、アイスクリーム。コラボしたのは地元で人気の「長崎ペンギン水族館」、空の玄関口「長崎空港」、地元で長年愛されている「ちりんちりんアイスの前田冷菓」だ。
![便せんとのコラボ](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/b/700mw/img_eb423775eb4e3daf3bbcd6da15a3e7172931283.jpg)
また他県とのコラボ商品もある。全国的に話題になった万年筆のインクとガラスペン、タッグを組んだのは「漬物」だ。栃木に本社を置く「岩下の新生姜」が名物の食品メーカー・岩下食品。
![生姜と文房具のコラボ](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/6/700mw/img_064bf1fb090bcb7569aec5e49f27124e2780483.jpg)
石丸文行堂のスタッフが岩下の新生姜を食べている時に「もしかしたらこの色と香りの万年筆インクを作ったら面白いかもしれない」と思い浮かべ、SNSに投稿したところ岩下食品とつながり、コラボ化が決定。スタッフの自由な発想とSNSの力が生みだした商品だ。
“相乗効果”で双方にメリット
コラボ企画はそれぞれのファンが別の商品に興味を持ち、客層を広げられるのがメリットだ。先行きが不透明な時代、企業にとっては存続のために新しい価値をいかに生み出すか、大きな課題に直面している。
地域経済が専門の長崎大学経済学部山口純哉 准教授は「自社でたどりつくにも限界があるため“外に助けを求める”のも一つの手段。一定の価値を持っている企業とコラボすることで新しいものを生み出す動きが加速している」と話す。企業コラボで企業が狙うのは「相乗効果」であり、双方にメリットがあるのだ。
長崎大学経済学部山口純哉 准教授:
企業からすると、新しい価値を生み出して顧客に訴求することをゼロからやっていくのは難しい。Aという会社が持っている顧客とBという会社が持っている顧客がコラボで重なり、A会社しか知らなかった人がB会社を知ったり、B会社しか知らなかった人がA会社を知るという、お互い相乗効果を発揮してwin-winの関係で新しい顧客を捕まえることができる。これが企業にとって大きなメリット
歴史が息づく長崎は、古くから菓子づくりや農水産業が盛んな街。山口准教授は「伝統食品同士のコラボで新たな味を追求できるのではないか」と新商品誕生に期待を寄せる。掛け合わせることで誕生する新しい価値が、地域をさらに面白くする。自分の「推し」が巡り巡って世界中の人達とつながるきっかけにもなれば、「推し活」もまた楽しくなりそうだ。
(テレビ長崎)