日本初のライドシェアサービスが8日、東京で開始された。東京に続き、神奈川県や愛知県、京都府の一部地域で4月中にも始まるほか、5月以降は札幌市や大阪市などでも始まる見通しだが、専門家は、サービス改善と地域ごとの適切な対策が必要だと指摘している。

国内初「ライドシェア」開始 東京から地方へ

一般ドライバーが自家用車を使って有料で客を乗せるライドシェアが、8日から東京で始まり、出発式が行われた。全国で初めてのサービス開始となる。

斉藤国交相と河野デジタル相がライドシェアを体験
斉藤国交相と河野デジタル相がライドシェアを体験
この記事の画像(10枚)

出発式に参加した斉藤国交相と河野デジタル相は、アプリで自家用車を呼んでライドシェアを体験するデモンストレーションを行った。

河野デジタル相:
多くの方に一度体験をしていただきたい。その中で変えなければいけないところは、どんどん変えていきたい。

ライドシェアは、タクシー会社の管理のもとでタクシーが不足する地域や、時間帯に限って認められ、利用料金はタクシーと同じだ。

8日から利用できるのは東京23区と武蔵野市、三鷹市で、時間は月曜から金曜の午前7時から11時や、金曜・土曜の午後4時から8時などとなっている。

東京に続き、神奈川県や愛知県、京都府の一部地域で4月中にも始まるほか、5月以降、札幌市や大阪市などでも始まる見通しだ。

地域の交通事情に合ったサービス必須

「Live News α」では、エコノミストの崔真淑(さい・ますみ)さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
いよいよ日本でもライドシェアが登場しましたね。

エコノミスト・崔真淑さん:
あくまでもタクシー会社が主導する形のため、海外で普及しているライドシェアとは構造が大きく違います。

なので、タクシー不足に対応するための、規制緩和に過ぎないライドシェアに手を挙げる人が少ないんじゃないか、そんな懐疑的な声も出ています。ただ、まずは日本版ライドシェアがスタートした、規制緩和が起きたことは第一歩だと思います。

堤キャスター:
利用者の便利さが増すよう、見直しが進むといいですよね。

エコノミスト・崔真淑さん:
2種免許を持つタクシードライバーが不足する一方、日本を訪れるインバウンド客が増加するなど、タクシー不足という課題に対してライドシェアへの期待があります。

ただ、都市部と地方では事情が異なるため、それぞれ課題を整理しながら、よりよいサービスにするための制度設計が必要なのかなとは思います。

堤キャスター:
都市部でのライドシェアでは、どんな形が求められるのでしょうか。

エコノミスト・崔真淑さん:
都市部のターミナル駅では、雨の日に長いタクシー待ちの行列ができるのも日常茶飯事です。日本にきたインバウンド客の不満にもなっています。

しかし、東京で始まった「ライドシェア」は、タクシーが不足する地域や時間帯に限って認められ、利用料金はタクシーと同じとなっています。やはり海外で行われている、利用者本位の「乗る車を選べる」ライドシェアの仕組みを導入するかどうかは検討は必須だと思います。

助成をステップに大きな経済効果を

堤キャスター:
地方に関してはいかがですか。

エコノミスト・崔真淑さん:
鉄道やバスの廃止が相次いでいる地方では、交通課題対策としてのライドシェアへの期待は大きいです。

ただ、海外の事例をみると、地方や郊外でのライドシェアは赤字になりやすく、誰も運転手をしたがらないという声も出ています。

地方における交通手段の代替にするならば、規制緩和を行い、市場に任せるだけではなく、国または自治体の補助は必須だと思います。

全国でライドシェアが普及し、こうした課題が解決できれば、経済効果は5000億円を超えるという試算もあります。地域の事情に合わせて、それぞれにアプローチすることが重要かと思います。

堤キャスター:
ライドシェアが新たな移動の選択肢となるには、地域や利用者のニーズにどこまで応えられるかが鍵を握っているように思います。
(「Live News α」4月8日放送分より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(10枚)