4月3日、宮崎市の高校のサッカーグラウンドに雷が落ち、交流試合のためにウォーミングアップをしていた熊本県の高校の生徒18人が病院に搬送された。
Mr.サンデーは、落雷の瞬間を捉えた車のドライブレコーダー映像を独自に入手。さらに、専門家と共に落雷があったグラウンドを取材し、なぜ今回のような被害が及んでしまったのか検証した。

予兆を感じることもなく…突然の落雷

宮崎市内を走る車のドライブレコーダー映像。3日午後2時35分、パラパラと小雨が降っているのが分かる。すると次の瞬間、稲光が走った。その先ではまさかの出来事が起きていた。

ドライブレコーダーが捉えた“落雷の瞬間”
ドライブレコーダーが捉えた“落雷の瞬間”
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宮崎市の鵬翔高校のサッカーグラウンドで、落雷事故が発生していたのだ。練習試合に来ていた熊本県の鹿本高校の生徒18人が病院に搬送され、このうち1人が意識不明の重体と見られている。

サッカーコート脇には黒い跡が残る
サッカーコート脇には黒い跡が残る

雷が落ちたサッカーコート脇には、黒い跡のようなものが確認できる。当時、宮崎県全域に雷注意報が出ていたが、監督やコーチは雷注意報を認識しておらず、雨も小降りで雷鳴などもなかったため試合を続行したという。

当時の状況について、鵬翔高校の富山晃一教頭は「雨が強くなったので、ハーフタイムを10分延長して、携帯アプリで雲の状況を見て試合を再開した。雷が落ちるその時の天候は、雨がぱらついてきたというぐらいの状況だった」「落雷音が全くしなかったというところですね、いきなりドンと…」と説明。予兆を感じることもなく、突然雷が落ちたという。

運転中に落雷を目撃した女性は、「お昼ちょっと前ぐらいにいったんバーっとザーッと降ったりしてやんでっていう感じのちょっと変わった天気でした。いきなり雷が大きい音で1回ドンとなった」と話す。雨がパラパラと降る中、突然雷が落ちていることが分かる。

“地面を伝う雷”の脅威

いったいなぜ、18人もの生徒に被害が及んでしまったのか。Mr.サンデーは、雷の被害を抑える研究をしている宮崎大学の迫田達也教授と共に、落雷の現場となったグラウンドを取材した。

現場の地形について、迫田教授は「少し丘みたいにね、ちょっと小高いところがありますけれども、もちろん向こうに落ちても不思議はないし、ここに落ちても不思議はないっていうような地形ですね」と指摘。「大地に向けて雷が落ちて、落ちた雷による電流が大地を伝わって、それによって生徒さんが感電した恐れはあると思います」と説明する。

雷が大地に流れる様子を表した実験。電流が放射状に広がっているのが分かる。
雷が大地に流れる様子を表した実験。電流が放射状に広がっているのが分かる。

雷が大地に流れる様子を表した実験映像を見ると、雷が地面に落下した後、電流が放射状に広がっているのが分かる。迫田教授によると、事故当時、グラウンドに落ちた雷が地面を伝い、周囲にいた生徒18人に到達したと考えられるという。

小雨の中、予兆を感じることもなく落ちてきたという雷だが、どうれば察知することができるのか?迫田教授は「たとえ雨が降ってなくても、あるいは小降りであっても、雷は落ちる可能性はあります。少し暗い雲が存在している、あるいは近づいてきている、あるいは少し湿気を含んだ生暖かい風が吹き出したとかですね。そういったところにも気をつけると方が良いかと思います」としている。
(「Mr.サンデー」4月7日放送)

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