“職業差別”とも取れる発言で物議をかもし、2日に開いた記者会見の最後に突然、辞任の意向を示した静岡県の川勝平太知事(75)が4月3日、会見を行った。しかし、その“辞任会見”は、どこか“すっきりしない”ものだった。

謝罪するも…「私の心も傷ついております」

川勝知事は、4月1日に行われた新入職員の入庁式で「毎日毎日野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたり、あるいはものを作ったりとかいうことと違ってですね、基本的に皆さま方は頭脳、知性の高い方たちです」と述べていた。

この発言について“職業差別”だと批判された川勝知事は、2日の会見で「言葉を切り取られた」と猛反論。そして、会見の最後に「6月の議会をもってこの職を辞そうと思っております………以上です!」と言い放ち、記者の質問を振り切って会見場所を後にした。

この記事の画像(5枚)

こうしたなか、3日午後3時半から川勝知事は再び会見し、“辞任”に関する説明を行った。

「職員への激励、励ましの言葉のなかに人々の心を傷つけるものがあったということを厳しく受け止めております。誠に申し訳なく、心からおわびをいたします。申し訳ありませんでした」

頭を下げ、謝罪した川勝知事だったが、「責任を取る形で辞職するという認識でいいのか」と記者から問われ、「傷つけたことに関しては、私の心も傷ついておりますので」と述べた。

辞任理由はリニア?「一番大きかった」

辞任の理由はこれだけでは終わらなかった。それは、先日、2027年の開業断念が明らかになったリニア中央新幹線をめぐるもの。川勝知事は、トンネル工事により県内の環境や生物に加え、川の流量に影響が出る可能性があるなどとして、静岡工区の工事着工に反対してきた。

3日の会見では、ここに来てようやくJR東海、国土交通省が歩み寄り、当面、完成・開業には至らないという事業計画の見通しが明らかになったと説明した。

「これ(リニア)が一番大きかったということでございます。残念ながら昨日はそれ(リニア)に関わるぶら下がりではなかったものですから……」

一方で、「県庁職員は野菜を売ったり、牛の世話をしたりする人よりも知性が高い」とした発言に対しては、記者から撤回しないのか問われ「そうです」と回答。「人の心を傷つけるっていうのは自分で気が付かない場合がありますね。しかし、そうなっちゃった以上、悪かったということはありますが、本意ではないということで、言葉が不足していたと」と説明した。
(「イット!」4月3日放送より)