福岡県北九州市で7人が監禁・殺害された事件。

日本史上稀に見る残酷な事件が2002年に発覚したきっかけは、当時17歳の少女が監禁先から逃げ出し、警察に通報したことからだった。

初めは1人の少女の監禁事件として考えられていたが、真実が明らかになるにつれ、その凄惨さに世間は震撼することとなった。

犯人は松永太死刑囚と緒方純子受刑者の2人。どちらも当時40歳だった。

事件はどのように起こされたのか。

(どのように7人を殺害したのか?マインドコントロールの手口はhttps://www.fnn.jp/posts/00293890HDK )

事件が始まる前

松永太死刑囚
松永太死刑囚
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松永太死刑囚は1961年、畳や布団を売る行商を営む家で生まれ、何不自由なく育てられた。

大学を中退し、家業を継いで会社を設立。粗悪品の布団を高額で売ったり、脅迫のような手口で売るなどして稼いでいた。

一方、緒方純子受刑者は1961年に農家の家に生まれ、後継ぎとして大事に育てられていた。短大を卒業して幼稚園の教員に。性格は優しく真面目でしっかりとしたごく普通の性格だったという。しかし、1982年、緒方受刑者が18歳のころに松永死刑囚からかかってきた電話で人生の全てが変わってしまった。

松永死刑囚は高校の卒業アルバムを見て緒方受刑者に会いたいと電話をかけてきた。当時妻がいながら、「君の写真が目に留まって、思わず電話してしまったんです」と語ったという。

その後、数年に渡って何度か会う中で、2人は男女の関係になった。

緒方受刑者は裁判で「恋愛に溺れてはいけないと自制はしていました。不倫関係ですし、私はいずれは養子を迎えて、家を継がないといけないことも自覚していました。でも、親が養子縁組した相手と結婚するまでに、一度くらいは恋愛経験をしてみたいという思いもありました。松永に対する恋愛感情が段々大きくなっていって、自制心が薄らいでいきました」と語っている。

緒方受刑者の両親は、不倫関係だった2人の交際を当初認めなかったが、松永死刑囚の得意の話術などで次第に好印象を抱くようになっていく。

松永死刑囚はわざわざ婚約確認書を作成し、両親に渡したりしている。しかし、その直後から2人の関係に変化が起こりだした。

緒方純子受刑者
緒方純子受刑者

松永死刑囚は「お前のせいで妻に交際がばれた。お前のせいで結婚できなくなった。お前のせいで俺の人生は滅茶苦茶になった」などと事あるごとに、負い目を感じさせるような暴言を吐き、殴ったり蹴ったり、髪を掴んで振り回すなどの暴力を振るうようになる。

緒方受刑者は、松永死刑囚に言われるがまま、親戚や友人に嫌がらせの電話などをかけ、関係を断たせられる。「なんとかして信用してもらいたい。自分が信用されないのは自分が悪いからだ」と裁判で言っていたように、松永死刑囚のマインドコントロールの下に置かれていくようになる。

松永死刑囚はそれをいいことに、「自分に愛情があるのなら体に印をつけてもいいだろう」とタバコの火で緒方受刑者の胸に“太”と自分の名前を書き、太ももにも同じ刺青を入れるなど、卑劣な行為を続けた。

松永死刑囚の暴言と暴力は、会社の従業員達に対しても行われた。のちに事件でも頻繁使われることになる、家庭用コンセントに繋いだコードの先を裸にして、ワニ口クリップを繋げた装置を体につけて電気を流す『通電』も始められた。しかし、暴力などに耐えられなかった従業員が1人消え、2人消え、さらには粗悪品の布団は売れなくなり、会社の経営は傾いていく。

すると松永死刑囚は、知り合いやその親戚から金をだまし取ったり、消費者金融などから繰り返し借りさせたりして、金を集めた。緒方受刑者も指示を受けて同様に金を騙し取り、とうとう2人は詐欺と脅迫容疑で指名手配されることとなった。

そんな折に緒方受刑者に子供が生まれた。当時の気持ちを法廷でこう話していた。
「子どもが生まれたことで自首をして身を潔白にしたいという気持ちより、松永死刑囚と一緒に時効まで逃げ続けようという気持ちの方が強くなりました」

2人は警察から逃げ、生活をするために元従業員から金をだまし取ったり、以前交際していた既婚女性を結婚詐欺にかけて離婚させた上で金をだまし取ったりした。

その後、その女性は死亡。2人は警察から事情聴取を受けることを恐れ、逃亡した。

しかし、逃亡を続ける中、7人が殺害される事件が起きていく。


(どのように7人を殺害したのか?マインドコントロールの手口は

 
 

二人の息子は今どう感じているのか

フジテレビ(首都圏エリア)で10月15日(日)と22日(日)の2週にわたって放送された『ザ・ノンフィクション 人殺しの息子と呼ばれて…』。
北九州連続監禁殺人事件の犯人である松永太死刑囚と緒方純子受刑者の間に生まれ、「人殺しの息子」と呼ばれながら生きてきた息子(24)が、初めてメディアのインタビューを受けたもので、自身の怒りや悲しみ、そして苦悩の日々などを激白した。

その反響が大きかったため、12月15日に全国放送される。今回は、10月に放送した内容だけでなく、放送後、再度息子に敢行したインタビュー、母・緒方純子受刑者による未公開の手紙などの内容を加えて、再編集した形で放送される。


「ザ・ノンフィクションSP 人殺しの息子と呼ばれて・・・」
放送日時:12月15日(金)21:00~22:52 放送
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/171215thenonfx/index.html

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。