再生可能エネルギー導入をめぐり、規制の見直しを目指す内閣府のタスクフォースに提出された資料の一部に、中国国有の電力企業のロゴマークの透かしが入っていることがわかった。内閣府は、問題の資料提出者と中国企業との関係を調査中だ。

資料に中国企業の「電子透かし」

透かしが入っていたのは、3月22日と2023年末に開催されたタスクフォースに提出された資料で、中国政府直轄の企業名などが確認できた。

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25日に会見した内閣府の規制改革推進室は、「民間メンバーが提出した資料だ」としたうえで、「本人が事務局長を務める財団法人が行ったシンポジウムに、この中国企業の関係者が登壇した際の資料を、別の機会で使用したところロゴが残ってしまっていた」と説明している。

財団は「中国政府・企業とは、人的・資本的な関係はない」としているということだが、内閣府は、確認を取るとしている。

経済安全保障上の懸念事項に?

そもそも、「電子透かし」とは、画像などのデータやファイルなど、デジタルコンテンツに情報を埋め込む技術の一種で、著作権が自らにあるということなどを示している。

再生可能エネルギー導入という国の重要政策について意見交換する場に、もし中国国営企業が作った資料が提出され、議論に影響があった可能性があるとすれば、経済安全保障上の懸念事項になるのではと指摘されている。

電子透かしのロゴが入っていた「国家電網公司」は、世界最大級の電力会社。中国政府直轄の国有企業で国土の88%に電力を供給している。

今回の問題となった資料を見ると、PDFファイルを開くときの一部プログラムによっては、ロゴなどを確認することはできなかった。ところが、該当のファイルを別のプログラムで開き直したり、色の設定を変えたりすると、中国の企業名が入った透かしのロゴが浮かび上がってきた。

文書のひな型に残っていた

内閣府は、今回の問題の原因についてこう説明している。

資料を提出したのは、財団法人の事務局長を務める民間メンバーで、以前にこの財団が主催したシンポジウムで使用された中国企業のロゴが、今回の資料を作った際に文書のひな型に残っていたということで、中国企業が作った資料を使ったわけではなく、内閣府としては問題ないとの立場だ。

岸田首相は、野党からの調査を行うべきだという指摘に対して、「仮に不適切な内容が判明した場合には、厳正な対応を講ずることになる」と述べた。

今回の問題は、白い背景に白い文字でロゴがあったので気がつかず、ブラウザーの環境によっては表示がなされないため内閣府も認識できなかったというが、それがそのまま公開され、指摘があるまで気が付かなかったというのは、エネルギー政策の議論をめぐるセキュリティ意識が低いといわれても仕方がない。

再生可能エネルギー普及をめぐっては、4月から電気料金に上乗せしている「賦課金」が引き上げられ、標準家庭では月平均で800円ほど、年間で約1万円の負担増になると発表されたばかりだ。

内閣府は、今回の件の経緯をさらに調査するとしているが、私たちの暮らしに大きくかかわる政策をめぐる議論の要素となる資料には、高い透明度が求められているといえる。
(「イット!」 3月25日放送より)

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