ベネッセが開催した「最新デジタル教材体験会」に密着。ゲーム感覚で学べる教材など、最新の教育サービスが紹介された。デジタル教材は、学習者の個別最適化を図り、教育のあり方を根本から変革する可能性を秘めている。

やる気を引き出す最新デジタル教材

2024年3月19日、通信教育事業大手のベネッセが開催した「最新デジタル教材体験会」。

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ベネッセ・公式Vチューバーなるりさんも登場し、小学生から高校生を対象にした“いまどき”なサービスが紹介された。

漢字をゲーム感覚で学べるソフト
漢字をゲーム感覚で学べるソフト

今湊敬樹キャスター:
えーっとこっちかな。いいですね。軽い気持ちで楽しく、国語の漢字を学ぶことができています。

こちらは、友達や家族とゲーム感覚で学習できるソフト。苦手を楽しく攻略することで学びに繋げる。

開発担当・田中勇気さん:
各学年の特徴がありますので、それに応じたソフトを提供している。

VRで植物を立体的に学べる
VRで植物を立体的に学べる

一方、今湊キャスターが覗いているのは…。

今湊キャスター:
これ、花の中ですか…おしべ!花粉がびっちりついています。子房の中ですから、これ被子植物です。

開発担当・田中勇気さん:
覚えて定着していますね。

今湊キャスター:
定着していますね、嬉しい。

こちらの教材は、VRを使用し、よりリアルな体験を通じて、紙の教材だけではイメージしづらい学習をサポートしてくれるという。

また、3月20日から提供を開始する生成AIを活用したこちらのサービスは、自宅での学習中に生まれた疑問をタブレットに打ち込むことで、即時にサポートしてくれる。

今湊キャスター:
初歩的な質問であっても、素直に質問できるのがいいなと思いました。

教育現場が、子どもの学習意欲の低迷などの課題を抱える中、新しいデジタル教材サービスで「やる気向上」に繋げたいという。

ベネッセコーポレーション 小学生商品開発部・山津祥子部長:
VRやARの教材だとか、生成AIを使った教材サービスみたいなところは、お子様のやる気の向上というところに非常につながりやすいものかなと思いまして、そういった教材を使いながら、もっと知りたいとかもっと調べたいっていう、知的好奇心みたいなところが湧いてくる、内発的動機付けにもつながっていく。

個別最適化で教育の限界を超える

「Live News α」では、津田塾大学教授の萱野稔人さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
学ぶ“やる気”を引き出すデジタル教材。萱野さんは、どうご覧になりますか。

津田塾大学教授・萱野稔人さん:
私が注目するのは、デジタル教材による学びの個別最適化がどこまで広がっていくかということ。というのも、その広がりはこれまでの教育のあり方を、根本的に変革する可能性をもっているから。
まず、子どもたちはもともと、学習のスピードも違えば、興味関心も違うし、学習スタイルも異なる。
しかし、いまの一斉指導の現場では、子どもたちの多様性に対応することが難しい。デジタル教材の活用は、個別最適化された学びを提供することで、今の教育が抱えた限界を超えることを可能にしてくれる。

堤キャスター:
授業のスタイルも変わっていくかもしれませんね。

津田塾大学教授・萱野稔人さん:
デジタル教材の活用が広がると、子どもたちを同じ場所に、同じ時間に集める必要性が低下する。
デジタル教材は、オンラインで個別最適化された教育コンテンツを提供できるため、教室にいかなくてはならないという場所と時間の限定性を取っ払ってしまう。実はこの点こそ、教育のあり方を大きく変える可能性となる。

教育現場は「集団的な規律」に疲弊

堤キャスター:
どこででも、いつでも学べるようになる。これは子どもたち優先の教育といえそうですね。

津田塾大学教授・萱野稔人さん:
近代社会における教育はこれまで、子どもたちを一斉に教室に集めることで、その成果を発揮してきた。
ただ、子どもたちを一斉に集める以上、どうしても集団的な規律を子どもたちに身につけさせる必要があり…。日本のような社会では、特にそうした集団的な規律を子どもたちに身につけさせることを重視してきた。
教育現場で多少いじめがあっても、それで集団的な規律や秩序が維持されるなら、いじめの問題が軽視されがちだったのも、そのため。

堤キャスター:
学び方が変わるというより、教育のあり方そのものが見直されることになりかもしれませんね。

津田塾大学教授・萱野稔人さん:
集団的な規律を過度に重視することに、子どもたちも、教育者たちも疲弊している。それを打開し、個々人の能力を開花させる教育をどこまで根付かせることができるかが鍵となる。

堤キャスター:
人それぞれの学びができるデジタル教材を上手く活用する一方、人間性をどう育むのか。これについては、やはり、人の力が必要不可欠なように思います。
(「Live News α」3月19日放送分より)

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