「ネガティブな情報」に関心はあるだろうか?

株式会社ブランドクラウドの調査で、2人に1人が「ネガティブ情報」に関心があることが分かった。ブランド全般のコンサルティング事業を行う同社が15~69歳の全国の男女900人を対象に「ネガティブ情報に関する意識調査」を実施し、結果を2月29日に発表した。

この調査で、企業の不祥事や従業員の不祥事、有名人のゴシップなどネガティブな情報への関心について、「関心がある(「非常に関心がある」「ある程度関心がある」の合計)」との回答が51.6%だった。

2人に1人は「ネガティブ情報に関心がある」(提供:株式会社ブランドクラウド)
2人に1人は「ネガティブ情報に関心がある」(提供:株式会社ブランドクラウド)
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また、ネガティブな情報に接触した時に、さらに情報を検索したことが「ある」との回答は41.3%。ブランドクラウドは「ネガティブ情報への関心も高く、検索してしまいがちな様子が見受けられる」としている。

「ネガティブ情報接触時に、さらに情報検索した経験がある」は約4割(提供:株式会社ブランドクラウド)
「ネガティブ情報接触時に、さらに情報検索した経験がある」は約4割(提供:株式会社ブランドクラウド)

“人に話す”“SNSで投稿やリポストする”等、ネガティブな情報を拡散したことが「ある」との回答も9.9%あった。

1割がネガティブ情報の拡散経験「ある」

また企業のネガティブな情報が、後からデマやネガティブなうわさ、フェイクニュースといった風評被害だったという経験が「ある」は34.1%。

風評被害だったという経験が「ある」と回答した人を対象にすると、風評被害だと判明した後も商品やサービスを買うのに躊躇したり、購入を控えたりしたことが「ある」との回答は41.7%だった。

ネガティブ情報に注目した興味深い調査結果だが、そもそも人がネガティブ情報に関心を持ってしまう理由は何か?情報があふれる今、私たちは「ネガティブ情報」とどのように向き合っていけば良いのか?

株式会社ブランドクラウドの担当者に聞いた。

「避けられない人間の本能」

――人がネガティブ情報に惹かれ、関心を持ってしまう理由は?

ネガティブ情報に興味を持つことは、避けられない人間の本能だと思います。人は本能的に「危険からは遠ざかるべき」と考え、ネガティブ情報に反応し、自分を安全な環境に置こうとします。

この反応は正しいものですが、インターネットの普及により、その反応が過剰になっていると考えられます。

また、自分では経験できない事象に対する興味も、理由の一つではないでしょうか。まるで映画を見ているような感覚で、それがリアルな感情を呼び起こし、関心を増幅させます。

インターネット上の不祥事や炎上している案件に対して、このように感じる人が多いのは、残念ながら、ある意味で当然なのかもしれません。

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――ネガティブな情報に接触した時に、さらに情報を検索する理由は?

他人のことであるため、ネガティブ情報に対する興味は、物語の結末を知りたいという心理に似ています。物語を見始めたら、結末を知りたくなるのは自然なことです。

さらには、誰でも1台はスマートフォンを持ち歩いている現在、いつでもどこでも調べることが可能ですし、いくらでも情報がインターネット上にあふれかえっているということも、起因していると考えられます。


――では風評被害だと判明した後も、商品やサービスの購入を躊躇する理由は?

まずは「ファーストインプレッションバイアス」と言われる、最初に持った印象による影響が大きいかと考えられます。

人は最初に受けた印象が強く心に残りやすく、その後の情報で覆されたとしても、初めのネガティブな印象が完全には払拭できないことがあります。

また、「確証バイアス」といい、人は自分の既存信念や仮説を支持する情報を好み、それに反する情報を無視しがちな傾向にあります。

ネガティブ情報を目にしたことで、その商品やサービスに対し、一度でも懐疑的になってしまうと、その後に見る情報もネガティブなフィルターを通して解釈し、風評被害であるという情報を十分に信じられない、または、それを過小評価してしまう可能性があります。

「偏った情報を軽々しく信用しないことが大切」

――ネガティブ情報が風評被害だった場合、企業や個人はどのように対応すればいい?

インターネット上でネガティブ情報を見つけたとしても、対応の選択肢は限られており、どう対処すべきか迷うことが多いです。

法的措置も一つの手段ですが、やみくもにネガティブ情報発信者と直接連絡を取ることは二次的な問題を引き起こす恐れがありますし、リテラシーの高い情報発信者は、個人の主観として書くなど工夫をこらすことで違法性(名誉毀損など)を上手く、くぐり抜けているケースも少なくありません。

そのため、弊社のような具体的に風評被害対策を行っている企業にまずは相談し、対応や対策を検討するのが良いでしょう。

弊社は、親会社が国内最大手のPR会社である株式会社ベクトルですので、既存の風評被害情報を一般ユーザーの目から遠ざけていくだけでなく、ポジティブな情報や正しい情報をうまくユーザーに届けていくこともお手伝いが可能です。

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――情報があふれる今、「ネガティブ情報」とどのように向き合っていけば良い?

情報を受け取るユーザーとしては、単純ですが、他人の情報や偏った情報を軽々しく信用しないことが大切です。

ネガティブ情報を発信されてしまっている個人や法人の方については、その情報をまずは整理・調査・分析し、それに対する対策方法を検討していくことが重要です。

その対策についてはサービスの向上や正しい情報の公式発信など、個人や法人が自分たちで取り組まないといけないものもあれば、弊社のような風評被害対策の会社へ依頼することで解決できるものもあるかと思います。

まずは問題を見極め、正しい選択をしていく必要があるかと存じます。それが分かりにくい際には、弊社までご相談いただけましたら、お力添えさせていただきます。

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取材で印象に残ったのは、ネガティブ情報に関心を持つことは「避けられない人間の本能」、ネガティブ情報に対する興味は「物語の結末を知りたいという心理に似ている」という分析だった。

ネガティブ情報に関心を持つのは良いが、情報を受け取ったときに偏った情報を軽々しく信用しない、そしてデマの可能性もあるので安易に拡散しないよう、気を付けてみてほしい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。