「日本一のビワ産地」である長崎市の茂木地区の小学校がこの春、72年の歴史に幕を閉じる。 最後の在校生となった7人の児童が閉校記念式典で伝えたのは地域への感謝、そしてこれからの決意だった。
歴代の卒業生の姿も
2月18日、普段は静かな長崎市立南小学校の校庭に多くの車が並んだ。
長崎市立南小中学校・田川雄一 校長:
中学校は令和3年度をもって、小学校は本年度をもって、その輝かしい歴史に幕を閉じることになりました
この日行われたのは南小学校の閉校記念式典だ。2022年に閉校した中学校の最後の卒業生2人や歴代の卒業生でもある地域の人たちも駆けつけた。
閉校記念事業実行委員会・山崎隆史 委員長(※崎は立つ崎):
春の季節になれば、ビワの木にたくさんの袋がかかる景色は圧巻でした。しかしその景色が年々減少するとともに大崎・千々の両地域からも子供が減っているのも現実
72年前の開校は地域や子供たちの手で
1952年、昭和27年に茂木町立南小学校と南中学校が誕生した。
敷地は地域の人たちが切り拓き、運動場の砂は子供たちが海岸から運んだという。
児童と生徒の数が300人を超えた時期もあったが少子化や世帯数の減少も重なり、2023年度は7人となった。
ビワ産地ならではの競争も
2023年10月に行われた最後の運動会には、子供たちを応援し見守る地域の人たちの姿もあった。
長崎市立南小学校・田川雄一 校長:
いつも7人の子供たちは全力で何事も頑張っています。きょうも、最後の運動会も最後まで全力でやり遂げる姿が見られると思う
地区対抗の綱引きのほか、風船をビワに見立てた「袋かけ競争」はビワの産地ならでは。学校や地域がひとつの家族のように7人の児童を支えてきた。
式典で児童が語った決意
閉校記念式典を盛り上げたのも7人の児童だ。
集まった「先輩」たちに寸劇で72年積み重ねてきた学校の歴史や思い出を発表した。
長崎市立南小学校の児童:
今日から新しか南小に行くばい。うれしか~どげん学校やろ
長崎市立南小学校の児童:
どげん子やろうか、仲良くしてくれっかな
児童たちは閉校を記念して「ななつの星(ひかり)」という曲が作られ、7人全員がダンスを交えてラップを披露した。
ラップを披露する児童:
『♪朝から晩まで働く姿 父さん、母さん格好いいんだ 小さい頃から見てきた姿 絶対なるんだビワ農家♪』
南小学校はこの春、茂木小学校へと統合され、子供たちは新たな学校生活に踏み出す。児童たちは南小で過ごした日々を胸に、これから始まる新たな学校生活への決意を発表した。
長崎市立南小学校の児童(1年生):
南小学校は山奥だけど、たくさん勉強したり遊んだりしてとっても楽しい学校です。絶対忘れられません
長崎市立南小学校の児童(4年生):
南小で全校で鬼ごっこやバスケをして遊んだのがとても楽しかったです。茂木小に行ってもこのことを忘れずにこれからも頑張りたいです
72年にわたり、多くの人の思い出の舞台となったビワの里の小さな小学校は3月末、その歴史に幕を下ろす。
(テレビ長崎)