東日本大震災から13年がたった2024年3月11日、被害を受けた各地域や、能登半島地震で黙とうがささげられた。一方、岸田首相は福島市で行われた追悼復興祈念式典に出席し、復興への支援を誓い、福島第一原発の安全・着実な廃炉などに取り組むと強調した。

それぞれの思いを胸に…各地で鎮魂の祈り

あの日から13年がたった。

福島・双葉町での花火とキャンドル
福島・双葉町での花火とキャンドル
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福島・双葉町の夜空を彩る花火。足元にはキャンドルの温かい灯りが広がっている。

約1000本のキャンドルでかたどられた3.11の文字
約1000本のキャンドルでかたどられた3.11の文字

約1000本のキャンドルが「3.11」の日付をかたどった。

福島・南相馬市から訪れた男性は、「13年たちますけど、風化させちゃいけないと思うので、今後も続いていってほしい」と話す。

午後2時46分に双葉町で黙とうをささげる
午後2時46分に双葉町で黙とうをささげる

東日本大震災から13年。亡くなった人は1万5900人、今もなお、2520人の行方が分かっていない。午後2時46分、当時被災した人たちもそれぞれの思いを胸に祈りを捧げた。

「忘れないために毎年来ています。助けられた命でもあるので、私も母に。なので(子どもを)見せられたらよかったなと」(祖母と義理の母を亡くした女性)
「13年、長いような、短いような、本当に表現しづらいです。職場がすぐそばの病院だったんですが、あの日亡くなった方々、みんなに対して(祈りました)」(当時、宮城・南三陸町内の病院に勤務していた男性)
「復興とか再生、再興というものに向けてどんどん町は変わってきている。きっと町の未来にもつながっていくのかなと」(当時13歳、2020年に福島・大熊町に戻った女性)

一方、福島市で行われた追悼復興祈念式典に出席した岸田首相は、「引き続き、東北の復興に全力を尽くす」と述べたうえで、国が前面に立ち、福島第一原発の安全・着実な廃炉、帰還に向けた生活環境の整備などに取り組むと強調した。

また、岩手・宮古市の田老地区で行われた追悼の凧揚げでは、能登半島地震で犠牲になった方々へ思いを届けようと、「能登」と書かれた凧もあげられた。

その能登半島の被災地、石川・輪島市の復興市「わじまるしぇ」でも、東日本大震災の発生時刻に合わせて、祈りが捧げられた。NPO法人輪島朝市の中浦政克さんは、「東北の皆さんから大きな支援をいただいていますので、一歩を踏み出したよということを、東北の皆さんにもお伝えしたかった」と語った。

企業は災害対策でもリスク分散が必須

「Live News α」では、エコノミストの崔真淑(さい・ますみ)さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
あれから13年。復興の進め方についてどうご覧になりますか。

エコノミスト・崔真淑さん:
本当に、痛ましい災害でした。多くの帰らぬ方がいるのも、もちろん心苦しいです。

復興庁によると、東日本大震災による経済損失は、16兆9000億円と推計されています。これは、国家予算の約2割弱にあたる数字です。

今後、起こりうる首都直下型や南海トラフなどの大地震が懸念される中で、企業による自助、国による公助について、経済学の研究が蓄積されています。それが今後の災害対応を考えるヒントになると私は考えています。

堤キャスター:
まず、自らの力で立ち上がる企業の自助については、いかがですか。

エコノミスト・崔真淑さん:
東日本大震災の影響から、どんな企業が相対的に早く復興できたかについての研究があります。これを見てみると、サプライ・チェーン・ネットワークのあり方が、早期回復の鍵を握ることが分かっています。

例えば、仕入れ先、出荷先の地域を日本全体、世界へと分散してネットワークを作ることが、極めて重要だと報告されています。災害対策として、企業自身がリスクの分散を図る必要性は非常に増してきていると思います。

堤キャスター:
もう一つの、国や自治体などが復興をアシストする公助については、どうでしょうか。

エコノミスト・崔真淑さん:
実はこれも、政府や自治体による補助金など、どのような効果があったのか検証されています。

東日本大震災の時は、当時、複数の中小企業から構成されるグループに対し、震災によって毀損した建物や生産設備などの資本財について、その修繕費用の75%を支援するグループ補助金というものがありました。これは東日本大震災だけで、約5100億円の交付が行われました。

公助での効果は業種によりさまざま

堤キャスター:
補助金の効果は業種によって、やはり、違いなどはあるのでしょうか。

エコノミスト・崔真淑さん:
例えば、製造業の場合は補助金による効果はそれほど大きくなく、むしろ、企業同士の共助の影響が回復に大きく寄与していたと報告されています。

一方で、小売業などでは、この補助金があるかないかで回復に大きな差が出ていました。政府としては、単に補助金を出すだけでなく、こうした研究の知見も活かして、業種ごとに支援のあり方も考えてほしいと思っています。

堤キャスター:
13年分、前に進めたこと、13年経っても変わっていないこと、それぞれだと思います。残念ながら、自然災害は無くなりません。未来に命をつないでいくためにも、この日を決して風化させることなく、一つ一つの被害と向き合いながら、今に感謝することを忘れずに生きていきたいです。
(「Live News α」3月11日放送分より)

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