札幌ドームが募集し応募がゼロだったネーミングライツ。
実は札幌市電の停留場でも2月29日まで公募を行っていたが、8つの停留場で販売が決まった。
一体、どのように市電が変わるのだろうか。
市電の停留所にも“ネーミングライツ”
2月29日までに応募がなく期限が延長となった、札幌ドームのネーミングライツ。

一方、札幌市のマチを彩るあの観光資源の1つ、札幌市電の停留場もネーミングライツの公募が行われていた。

14か所の停留所を対象に募集
札幌市電を運行する札幌市交通事業振興公社は、施設などに企業名などをつける権利「ネーミングライツ」を市電の停留場の副名称に取り入れる。
14か所の停留場が対象で、料金は1か月2万2千円からだ。

応募があった企業から複数か所を選び、4月から1年間試行する予定だ。
札幌市電 新たな財源確保へ
背景には公共交通機関を取り巻く厳しい経営状況がある。
「新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、利用者が大幅に減少し、経営には大きな影響が出ております」(札幌市 秋元克広 市長)
札幌市の大通・山鼻地区、約8.9キロを周回する札幌市電。

新型コロナによる利用者の減少や電気代の高騰などを背景に、2022年度末で約8億8千万円の累積赤字となっている。

札幌市は収支改善を目的に2020年度から運行と整備を別会社で行う上下分離式を導入し経費削減を目指したが、燃料費高騰などの影響で先が見通せない状況だ。
このため、財源確保の新たな一手としてネーミングライツの試験販売に踏み切った。
市民の声は
「(副名称)つくほうがいいのかもしれませんね」
「西線何条とか言われても地図見ないと何があるかわからない。ランドマークがわかると一番楽です」
「いいと思います。降りる場所も行く場所も増えると思う」(いずれも市電の利用者)
市電のネーミングライツは、停留場の場所によって広告料金に差がある。
最も金額の安い住宅街にある東屯田通の停留場前は、大きな施設やモニュメントなどはなく、小さな商店やお店が並んでいる。

ネーミングライツの条件は、停留場から約500メートル以内の企業などだ。
近くのお店に入ってみると。
「(Q: 東屯田通はどんな場所?)昔からある理容室だとか日常的に使う店が多い。(Q: ネーミングライツにどんな効果を期待?)名前がついて店に人が流れたりとか、地域のお店の連携ができれば、もっと盛り上がるのかな」(札幌クジラ整骨院 市橋 良治 院長)
導入による影響は?
市電のネーミングライツ導入にはどんな影響があるのだろうか。
2023年、開業した栃木県の「芳賀・宇都宮LRT」。

ネーミングライツを取り入れた停留場を10か所設置した。
「(Q:ネーミングライツを取り入れて良かったことは?)新たな形の財源確保。宇都宮市がネーミングライツを取り入れるのは初めてだった中、ランドマーク的な企業が手をあげて停留場を設定できたところ。わかりやすさの補完というものに、ネーミングライツは寄与する」(宇都宮市 建設部 高橋亮太さん)

札幌市電のネーミングライツ公募は2月29日で締め切ったが、これまでに8つの停留場で販売が決まっているという。
4月には新しい副名称がつく。
利用者の増加や収支改善にどれだけの効果があるのだろうか。

札幌市電で副名称がつくことになる停留場は以下の8か所だ。
(札幌市電 副名称がつく停留場)
・狸小路・西8丁目・西15丁目・西線9条旭山公園通・西線11条・石山通・山鼻19条・中島公園通