多くの高校で卒業式が行われ、高校生たちが人生の次の一歩を踏み出した。世界的レーサーになることを夢見る小林利徠斗(りくと)さんもその一人で、山形南高校を卒業し、春からレーシングドライバーとして新たな舞台に挑む。
国内最高峰へ挑戦!「成長に重きを」
2023年、F1を頂点とするフォーミュラレースの登竜門「FIA-F4選手権」で、年間王者・シリーズチャンピオンに輝いた山形南高校3年の小林利徠斗さん。
この記事の画像(10枚)その実績を評価され、2024年は国内2番目の「スーパーフォーミュラ・ライツ」にステップアップするほか、国内最高峰の自動車レース・スーパーGTのGT300クラスに挑戦する。
小林利徠斗さん:
ベテランの選手もそろっていてすごく難しいレースになる。毎回のレースで成長できるよう、自分の成長に重きを置いて頑張りたい
新たな挑戦を後押ししようと、2月22日、山形市の自動車販売店から協賛金50万円が贈られた。
今は、トヨタの育成ドライバーという立場。チームからの収入はなく、企業からのこうしたサポートが小林さんを支えている。
ネッツトヨタ山形・高橋修社長:
山形から素晴らしい人材が生まれるということは本当に楽しみ。いろいろなものを学びながら、一歩一歩大きく成長してほしい
卒業後はレーシングドライバーへ専念
そして3月1日、小林さんは山形南高校を卒業した。
同級生のほとんどが大学に進む中、小林さんはチームの拠点に近い神奈川県で、レーシングドライバーとしての活動に専念する道を選んだ。
小林利徠斗さん:
レースで忙しくて高校生活もろくにできなかった。ここからさらに忙しくなって、レースもハードになっていくので、その中でレースに専念するのも一つの選択肢だと思った。後悔しないように生きているので、ここから先もやれるだけのことをやって頑張りたい
レースに専念する道を選んだ小林さんを、クラスメートも「自分の道を突き進む人生の選択だと思う。今後、さらにもっと結果を残して有名になってほしい」「利徠斗のレースの応援をクラスみんなでしています。世界トップになってもらって名前を世界にとどろかせてほしい」と、応援する。
「一歩ずつ大人に」父の思い…
いつしか、生活の真ん中に置くようになったレース。
本格的にレーシングカートを始めた小学6年の時、ジュニアカート選手権で初挑戦ながらもシリーズチャンピオンになった。
その活躍の影には、一緒に夢を追い続けた父・利典さんの存在があった。
小林利徠斗さん:
両親も自分も、知識もお金もない状態から始まって、お父さんはサーキットまで連れて行ってくれたり、車のメンテナンスをしてくれたり、数えきれないくらいサポートをしてくれました
父・利典さん:
今までずっとやってきたことがなくなるのは、うれしいような寂しいような部分があるのと、ひとまずほっとした部分もある。社会人として苦労する部分もあると思うが、勉強しながら一歩ずつ大人になってほしい
結果を残せなければ、次のシーズンを保証されない厳しい世界。
逆に新しいカテゴリーで期待に応える走りができれば、目指してきたプロのレーシングドライバーへの道が見えてくる。
小林利徠斗さん:
速く走るために、体と心もしっかり作っていく。他人と比較されがちなスポーツだが、与えられた環境の中で常に自分が成長できるように頑張っていきたい。最終的には世界で誰よりも速いドライバーになりたい
世界への道を、自ら切り開くと決めた18歳の決断。
小林さんは3月2日に山形をたち、4月のスーパーフォーミュラ・ライツ、スーパーGTの開幕に向かう。
(さくらんぼテレビ)