セブン-イレブンの新コンセプト店舗「SIPストア」が千葉・松戸市にオープンする。
スーパーのような品ぞろえで約5300品目を販売し、地域の特性に合わせた商品展開を特徴としている。
専門家は、SIPストアは全国展開を加速させないとみていて、地域密着型の展開が重要で、高齢化や人口減少に対応する必要性を指摘する。

まるでスーパーのような「SIPストア」

5000品目以上を販売する、セブン-イレブンの新たなコンセプト店舗がオープンする。

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29日、千葉・松戸市にオープンするコンセプト店舗「SIP(シップ)ストア」は、通常の店舗の2倍ほどの広さに、約5300品目が取りそろえられている。

生鮮食品もあり、まるでスーパーのよう
生鮮食品もあり、まるでスーパーのよう

丹羽うらら記者:
こちら普段見慣れた商品が並んでいますが、奥に行ってみると、果物や、野菜さらにお肉まで並んでいて、スーパーのような品ぞろえとなっています。

約4割がイトーヨーカドーのほか、赤ちゃん本舗のベビー用品、ロフトで人気のメイク用品など、グループ内の商品となっている。

ターゲットである近隣住民の需要を取り込む狙いがあるほか、この店舗での売れ行きのデータを今後、セブン-イレブンやイトーヨーカドーでの品ぞろえに生かしていく考えだ。

食品スーパー競争の指標になる

「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
── 渡辺さん、さっそくSIPストアを取材されたということですが、いかがでしたか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
食品スーパーの未来の形作る過程を意欲的に模索している。その過程を確認したいので、私のSIPストア取材はしばらくの間、定期的になりそうだ。

セブン-イレブンが目指しているのは、チェーンストアの基本である全店一律からの脱却であり、グループの各店舗で、地域の特性にあった品ぞろえを提案・展開していく検証店舗の意味合いが強い。

そのため、SIPストアの出店を、全国で加速させることはないように思う。これは大切なポイントだと感じる。

堤 礼実 キャスター:
── このSIPストアは、コンビニとスーパーの「いいとこどり」をしたお店のようですね?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
全国それぞれの地域No.1の食品スーパーとの競争に打ち勝つ、勝利パターンを検証することを狙っている。

そのため、肉・鮮魚はグループの流山キッチンという食品製造工場で加工した、高品質・高鮮度の商品を展開している。野菜・果物に関しては、地域の仕入れ先と連動したエリア密着の対応を行っている。

実は、SIPストアの真横には、関東のディスカウント食品スーパーの「オーケーストア」の出店を控えている。この店舗での成功が、全国で展開する食品スーパーとの戦いの指標となっていくことになりそうだ。

グループ店ならでは地域にあった品ぞろえ

堤 礼実 キャスター:
── こうした検証店舗を展開していく背景には、何か危機感のようなものがあるのでしょうか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
超高齢化・人口減少への対応は、流通業界の大きな課題。例えば、離れたスーパーで買い物していた消費者が高齢者となり、近くのコンビニを利用するようになるなど、顧客の買い物体験が変わっている。

今回のSIPストアは、食を中心とするセブン&アイの人気商品に加え、生活雑貨のロフトや赤ちゃん本舗など、グループ企業の棚も設置して5300品の品ぞろえを誇っている。

この多彩な品ぞろえは、「安さ」で支持されているイオンが展開する食品ミニスーパーの「まいばすけっと」とは、目指す方向性が違っている。

いいもの、欲しいものがそろったワンストップ・ショッピングで、気軽に買い物ができる形も合わせて模索するなど、グループの強みを結集した店舗になっている。

堤 礼実 キャスター:
買い物をする時、もちろん価格や品質も大切ですが、気軽に買い物に行けるという点も大きいですよね。グループ会社を多く持つ企業ならではの、新たな流通の形に期待したいです。
(「Live News α」2月27日放送分より)

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