東京都の小池知事は、「カスタマーハラスメント」防止条例を制定する方針を表明。カスハラは、顧客が従業員に暴言や土下座を強要する迷惑行為で、都内企業において被害が深刻化している。専門家は、条例整備に加え、顧客ファーストの姿勢に対する意識改革が重要と指摘する。
東京都「カスハラ」防止条例を制定
東京都の小池知事は、客による暴言や土下座強要などの迷惑行為、いわゆる「カスハラ」を防止するための条例を、全国で初めて制定する方針を示した。
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小池都知事:
カスタマーハラスメントが、都内企業においても深刻化している。独自に条例化の検討を進める。
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カスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」は、客が従業員に暴言を吐いたり、土下座を強要するなどの迷惑行為で、被害を受けた従業員が自殺に追い込まれたケースもある。
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小池知事は20日午後の都議会で、「カスハラ」の被害が深刻化しているとして、全国で初めて防止条例を制定する方針を表明した。
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東京都は、禁止される行為の具体的な例をガイドラインで示す一方、行き過ぎた迷惑行為には刑法を適用できることから、罰則は設けない方針だ。
「お客様は神様」の誤解から
「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。
堤 礼実 キャスター:
この「カスタマーハラスメント条例」、コンビニの店長経験がある渡辺さんは、どうご覧になりますか。
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消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
例えば、コンビニには1日に900名前後のお客さまが来店するが、ほとんどは良いお客さま。
いわゆるパワハラ顧客の数自体は限られているが、従業員への心理的なダメージは大きく、サービス産業にとっては大きな問題。
この問題を放置したままだと、人手不足を加速させることにもなりかねない。接客サービスを行う側にとっては、今回の東京都の条例は朗報と言える。
堤 礼実 キャスター:
実際に渡辺さんが対応に困ったケースなどはありましたか。
消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
私自身、コンビニ店長時代にアルバイトに不手際があり、土下座を強要された事がある。こうした理不尽な要求は、私が店長だった30年前と比べたら改善傾向にはあると思う。
それでも「お客様は神様として扱え」という思考は、色濃く残っているように思う。この“お客様は神様”というのは、顧客ファーストの接客を心掛けるというサービス精神を表したものであって、理不尽な要求であってもお店側は受けるべき、という姿勢のことではない。
顧客側の意識改革が重要
堤 礼実 キャスター:
お店と顧客で互いに失礼がないように、当たり前のことを当たり前にしていきたいですよね。
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消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
今も小売りの現場で何が起きているのかを知るために、時折、コンビニでアルバイトをしているが、近頃は接客が少しもたつくと舌打ちされたり、「袋入りますか」と聞いても答えてくれないなど、ライトなカスハラ事案が増えているような気がする。
こうした心ない振る舞いの背景には、小売や飲食などの接客サービスで働く人を見下すような傾向があるのではないか。
日本を訪れる外国人客が増えることもあり、サービス業は接客のスキルアップが求められている。顧客と向き合うサービス業の現場が、働く人に過度なストレスを与えない職場にする必要がある。
今回の条例の整備は大きな後押しになるものの、最終的には顧客の意識改革が何よりも大事なのかもしれない。
堤 礼実 キャスター:
こういった条例の制定を強いメッセージとして受け止めて、サービスを提供する側もされる側も、思いやりの心をもって接しあう世の中であってほしいです。
(「Live News α」2月20日放送分より)