いまやペットも家族の一員。能登半島地震発生直後から依頼を受けて行方不明となった犬やネコの捜索を続け、保護活動を行っている団体がある。朝から晩まで続く捜索活動にカメラが密着した。
「本当に会いたい…」家族の一員を探す
チームうーにゃん・うさ代表:
家族が一緒にそろっているからこそ、前を向いていけると思うので、そのためにも早く見つけてあげたい

2016年の熊本地震から、被災地でペットの救出や保護活動を行っている「チームうーにゃん」の代表・うささん。
倒壊した住宅に取り残されたり、地震に驚き逃げ出してしまったりした犬やネコなどを依頼を受けて探し、保護している。

能登半島地震が起きた翌日には被災地に入った。この日は、多くの依頼があった輪島市の朝市通りへ。朝市通りでは約30匹のネコが行方不明となっている。

チビちゃんを探す飼い主:
すっごくかわいい子なんです、本当に会いたい…。家とか燃えたんですけど、家なんて物なんて本当にどうでもよくて、チビちゃんさえ帰ってくれば本当に他は何もいらない状態なので…

チームうーにゃん・うさ代表:
今は(家の)近くにいる可能性が高いです。1カ月過ぎてくると環境になじんできて少しずつ外に出てくるんです。なので逆に今、急いで見つけたい。(時間がたつと)どんどん離れていく子も出てくるので
「チームうーにゃん」は、これまでに約60件の依頼を受け、30匹余りの犬やネコを保護してきた。
絵本作家からペットレスキューの道へ
うささんは元々は絵本作家。
2011年の東日本大震災で死んだ動物たちの姿を目の当たりにし、命を落とした動物たちの絵を描くプロジェクトを始めた。

その後、2016年の熊本地震で1匹の犬を助けたことをっかけに、被災地でペットレスキューを行う「チームうーにゃん」を立ち上げた。

チームうーにゃん・うさ代表:
飼い主さんが諦めちゃったら、帰る場所がなくなっちゃう。だから飼い主が諦めないように頑張るようにすることが大事だと思って、そのために私たちはできることを頑張らないとという気持ちが強くありますね
試行錯誤続け“早く見つけてあげたい”
飼い主の女性:
つかもうとしたら逃げて、閉まっていなかったので玄関から出て行って、それからどこに行ったかわからない
多いのはネコの捜索依頼。
ネコは地震が起きると、すぐにどこかへ隠れてしまうためだという。

チームうーにゃん・うさ代表:
ネコの足跡だらけ。ここにもある。ここは出入りしてますね
うささんは飼い主から特徴や逃げ出した状況などを聞き、ネコが現れそうな場所にごはんを入れた捕獲器を設置している。

チームうーにゃん・うさ代表:
一日中動かないと時間が足りなくて。一匹でも早く見つけてあげたい。もし自分が家族だったらと思うと、耐えられないですよね。どれだけ不安かなと思いますね
自身も犬やネコと暮らすうささん。飼い主の心境は誰よりも分かっている。

ネコが入っていきそうな倒壊家屋の中にもカメラを設置し、お気に入りのおもちゃを置くなど、試行錯誤を続けている。この家の近くで探しているのは「モフちゃん」。
チームうーにゃん・うさ代表:
昨日と一昨日と雨が降っていたので、ここで飼われていたモフちゃんが全然カメラに映ってない。全くご飯を食べられていないはずなので、今晩おそらく雨が上がっているので来るんじゃないかと思っています
作業を終えた時には、すでに午後11時を回っていた。

チームうーにゃん・うさ代表:
きょうは早く終わったほうです。12時前に終わることはなかなかないので…。熊本地震のときは(部分的に)被害が起きたところがありましたが、(能登半島地震は)被害にあってる場所が大きいので、依頼件数が多い
動物も同じ命「諦めなければ可能性はある」
ネコは夜行性のため、翌朝、まずは仕掛けた捕獲器をチェックして回る。
野良猫が捕まっていた捕獲器もあった。
その後も確認して回るが、空っぽの捕獲器が続く。探しているネコはなかなか見つからない。
しかし、先日モフちゃんを探していた家を訪れると…。

置いていた捕獲器をチェックすると、中にはモフちゃんの姿が!
モフちゃんは狭いところが苦手と聞いて用意した大きめの捕獲器で捕獲することに成功した。
チームうーにゃん・うさ代表:
モフちゃん保護しました!
飼い主:
モフちゃんだよね!モフちゃんです!
チームうーにゃん・うさ代表:
本当にこの瞬間がうれしいんですよ。こういう瞬間があると、もっと頑張ろうと思うし、この子たちが生きている限り絶対可能性はある。諦めなければ

チームうーにゃん・うさ代表:
みんな同じ家族だし、みんな同じ命だと思う。災害が起きるたびに動物がどうしているか、家族は行き場があるのか、それがすごく心配になる。できることがある以上はやっていきたい

モフちゃんの家族が、2次避難先の金沢から迎えにやってきた。
モフちゃんに会うのは約1カ月ぶり。
飼い主:
心配していました。保護できるかなと思いながら、どうしているかなと思っていました。本当に感謝しています、うれしいです。ありがとうございます
チームうーにゃん・うさ代表:
モフちゃんとの後ろ姿が、家族の後ろ姿で本当に良かったです。まだたくさんいるので頑張っていきます。次は町野町です
いまやペットは家族の一員。
「チームうーにゃん」の元には、きょうも捜索の依頼が続々と届いている。
(石川テレビ)