10年以上の年月を経て、愛用の道具と驚きの“再会”を果たした…そんな投稿がX(旧Twitter)で話題になっている。

(画像:フーチさん撮影)
(画像:フーチさん撮影)
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そういえばこの前赤坂の骨董屋で買った携帯イーゼル。
「お!昔の私が使ってたのと同じ奴だ!」と喜んで買ったはいいけど、前オーナーがマジックで書いた文字がうっすら残ってたのでよく見てみると…

私の名前と(大学の)学籍番号が思いっきり書いてたw
10年以上前に手放したのがブーメランwww

Xユーザーの「フーチ」さんが投稿したのは、ある骨董店で購入したという、携帯型のイーゼルの写真。イーゼルとは、カンバスを立てて固定する時などに用いられ、絵を描く際にも使用される道具だ。

しかし実はこのイーゼル、ただの中古の品ではなく、フーチさん本人がかつて使っていたものだったそう!

フーチさんは高校卒業後、自宅で絵画制作をするためにイーゼルを購入。その後も長く愛用していたそうだが、諸事情により一度手放したのだという。

そして10年以上が経った今、骨董店で手に取ったのだった。イーゼルには、フーチさんの名前と、在籍していた大学の学籍番号が書かれており、自分がかつて手放した思い出の品だということが確認できたそうだ。

手に取った瞬間「異様に馴染んだ」

このまさかのストーリーには「そんな事があるものなんですね!凄い!!」「きっと何かの縁だと思います」「お帰りなさいって、言ってあげましょう」などのコメントが続々寄せられる反響があった。フーチさん本人もさぞ驚いたに違いない。もしかして、店で見かけた瞬間に何か惹かれるものがあったのだろうか。驚きの“再会”について、お話を聞いてみた。


――イーゼルを手放した経緯と、再び購入しようとした理由は?

高校卒業後に絵画の勉強のため浪人し、美大に進学するかスタジオジブリ就職を目指すか悩んでいた頃に自宅の部屋で絵画制作を行うため携帯イーゼルを購入し、大学進学後もそのまま長らく愛用していました。

大学を出た後、老舗ギャラリーに就職したものの、ギャラリーの経営悪化でやむなく退職し、デザイナーとして独立。その後別カテゴリでの起業を行ったので絵画を制作する余裕がなくなり、他の不要な家財道具と一緒にリサイクル業者に買い取ってもらいました。(このリサイクル業者は)今回買った骨董屋とは全く別業者です。

その後会社を畳み、身辺が落ち着いてきたのでまた絵画を描こうと思ったので、再び自分に合いそうな携帯イーゼルを新品中古問わず探していました。

再びカンバスを載せたイーゼル(画像:フーチさん撮影)
再びカンバスを載せたイーゼル(画像:フーチさん撮影)

――店で見つけた時は何か感じた?

店頭にて見つけた時点で「あれ?」とは思っていましたが、名前を書いていた事は失念していました。ただ、手に取ると異様なまでに手に馴染んだのと、付着していた絵具がかつて私が顔料や油を混ぜ独自に調合していたものと同一だったので、予感めいたものはありました。帰宅後に名前と学籍番号が書かれているのを見つけました。


――購入したイーゼルが自分のものだと気付いたときの気持ちは…

「まさか」と「やっぱり」が入り混じった複雑な心境でした。

再会したイーゼルは今後の創作活動に

――これを使っていた時の思い出を教えて

バイクにイーゼルと画材を積んであちこちに出向き、油彩画やテンペラ画を描いており、バイクにも搭載可能なサイズなのと、部屋で制作するにあたってもかさばらないので重宝しました。


――10年を経て“再会”したイーゼル、今後どんな風に使っていく?

大学を出て就職後、絵画も趣味のバイクも辞めていました。近年ようやく身辺が落ち着き、残り後半の人生においてやりたい事を考えた結果として「バイクで旅して絵を描く」という己の原点に立ち返る事を決意し、現在に至ります。

学生時代は制作活動もバイクでの旅も不完全燃焼に終わった感がありますので、焦らずじっくりと構想や取材を重ね、堅実な作品づくりを行なっていくべく活動中です。もちろん、今回再会したイーゼルも再びバイクに乗って、あちこちを飛び回る事になります。


――投稿への反響について…

全く想定していなかった大きな反響に驚いていますが、多くの方が喜んでくれたのならイーゼルも本望だと思います。



実は「一度手放した物と再び巡り合った経験」は今回のイーゼルが初めてではなく、家電などと“再会”したことがあるという。「古い物を修理しながら長く使うのが好きなので、(一度手放したものと)どこかの骨董屋やリサイクルショップで巡り合う確率は普通の人より高いのではと思います」と話していた。

今回、“運命の再会”を果たしたイーゼルは、再び長くフーチさんの相棒になることだろう。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。