東京都で「体感型」ピッチイベントが開催された。
従来のプレゼンに加え、参加者が直接製品やサービスを試して感じることができ、企業はその魅力をより効果的にアピールできる。
これにより、理解が深まりやすく、資金調達や顧客獲得にもつながる可能性がある。

試して実感のピッチイベント開催

新たな製品やサービスをお試しできる、“体感型”のピッチイベントとは。

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14日、都内で開催された、スタートアップ企業が集う「東京都のイノベーションプロジェクト一般公開イベント」。
ここでαは、「体感型ピッチイベント」に注目した。

これまでのピッチイベントは、プレゼンを聞くのがメイン。
今回は、プレゼン会場のそばでスタートアップの製品やサービスを見て触って感じることで、企業側はその魅力をさらにアピールすることができる。

こちらは、力仕事などをアシストしてくれるイノフィスの「マッスルスーツExo-Power」。

上中勇樹キャスター:
腰の負担はだいぶ軽減されますね。全然違う、すごいな。

従来品より腰への負担が軽減されているほか、動きやすい設計になっており、作業の効率アップが期待できる。

一方、こちらのブースで、上中キャスターが抱えているぬいぐるみは、ユカイ工学の「甘噛みハムハム」。
指を入れると、ハムハム甘噛み( がみ)。今までにはない新しい癒しの形だ。

一見、プリントシール機に見えるこちらのサービスは、Pocket RDのフルボディスキャナー「AVATARIUM(アバタリウム)」。
簡単に自分の全身アバターが作れるのが特徴だ。

上中勇樹キャスター:
先ほどの撮影した自分のアバターができあがったということで、早速見ていきたいと思います。この写真の中に、さっき撮影したアバターが映りこんでいます。

アバターを写真とひも付け、操作することで、写真の中に入り込んだような新しい体験ができるという。

PocketRD・西川由衣COO:
自分のアバターを作ったことがある人は、まだ全然皆さん少ないと思う。アバターで楽しむみたいな遊びを提供して、さまざまな人にアバターが身近なものになっていけば。

今回のイベントについて、東京都は──。

東京都・吉村恵一さん:
新しいイノベーションを起こしていくというのは、みんなの知恵・アイデアが集まってきていると、みんなで議論する流れがあると思うので、そういう土壌をわれわれが作っていきたい。挑戦する人たちを応援することで、大きなイノベーションを起こして、社会全体を大きく成長させていければ。

体験により本当の価値が伝わる

「Live News α」では、山田進太郎D&I財団COOの石倉秀明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
── 今回の体感型のピッチイベント。スタートアップの経営をされてきた石倉さんの目には、どう映っていますか?

山田進太郎D&I財団COO・石倉秀明さん:
スタートアップにおいて「ピッチ」、短時間でサービスや事業のプレゼンを行うのはいくつかの意味があるが、主な目的としては、資金調達と顧客獲得の2つが大きい。

ピッチを多くの人に対して行うことで、それを見た投資家や顧客とつながり、資金の提供や契約獲得につながる可能性がある。

ただ、今回の取り組みに出てくるような、実際に使ってみたり、触ってみないと、その魅力が伝わりにくい事業やサービスにとっては、数分間かつ、口でのプレゼンだけのピッチは不利。
だからこそ、そういった事業やサービスを集めて、体験することを前提としたピッチをやるというのは新しい視点。

堤 礼実 キャスター:
── 確かに、見て、触って、感じるからこそ、その良さがわかるということもありますよね?

山田進太郎D&I財団COO・石倉秀明さん:
例えば、先端技術を使っているため、言葉だけでは魅力が伝わりにくいケースがある。
今回のような機会を通じて、価値が正しく伝われば、資金調達や顧客獲得などの恩恵を受けられる。

そうなってくれば、最先端の技術を使って、説明は複雑でもサービス自体はとても魅力的なものが評価され、そういったサービスを作ろうという人も増える。
ひいては、それが新しいイノベーションを起こすことにつながるのではないかと思う。

短時間で魅力を伝える訓練にも

堤 礼実 キャスター:
── しっかりと魅力や価値を伝える。実はこれ、さまざまなビジネスの場面で求められることでもありますよね?

山田進太郎D&I財団COO・石倉秀明さん:
ピッチには自分たちの事業や、サービスの魅力を伝えるための訓練の場としての意味もある。

多くの場合、ピッチは5分とか10分で伝えないといけないので、あまりたくさんのことは伝えられない。
しかも、聞いている人はその事業分野にくわしいわけではないので、専門用語などを使わずに、わかりやすく伝える必要がある。

つまり、短時間でしっかり魅力を伝える訓練として、ピッチを重ねることで、実際の事業やサービスを提供するお客さんに対しても、簡潔に短いメッセージで魅力を伝えられる力がつく。

堤 礼実 キャスター:
ピッチイベントは成長につながる出会いのチャンスであるとともに、いい部分が評価されたり、足りないところを見つける機会でもあるはずです。
それぞれの企業にとって、プラスに働くといいですね。
(「Live News α」2月14日放送分より)

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