まさに、大学で薬物乱用防止の研修会を行っている最中の逮捕だった。広島県の福山大学サッカー部の大麻事件で、1月31日、県警は新たに部員2人を逮捕。県内の他の大学にも衝撃が走り、緊急の研修会が開かれた。

研修会の最中、新たに逮捕者が…

福山大学・大塚豊学長:
社会に対してお騒がせをして、申し訳なく思っています。根本からやり直す。ゼロからの再生の第一歩にしたい

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福山大学サッカー部の部員2人が大麻取締法違反の疑いなどで逮捕された事件を受けて、1月31日、大学で薬物乱用防止の研修会が行われていた。集められたのはサッカー部や野球部など運動部に所属する学生約60人。

福山大学で開かれた薬物乱用防止研修会
福山大学で開かれた薬物乱用防止研修会

そんな中…

安藤優子記者:
薬物乱用防止の研修が行われている最中に、新たに2人の逮捕者が出ました

会場がざわつく。
新たな逮捕者の一報に、研修会に参加していた学生は驚きを隠せないようすだ。

研修会に参加した学生:
自分も報道を見てびっくりしている。身近なところで薬物が広まっている衝撃と驚きがあります。ニュースで見ていた時は他人事だったが、同じ部員となると感じるものがだいぶ変わってきます

県内の他の大学も急きょ、研修会開催

1月に4人が逮捕された福山大学サッカー部の「大麻事件」。広島県内の他の大学にも衝撃が走った。広島市安佐南区にある広島経済大学では、急きょ、2月2日に薬物の怖さを伝える研修会を開催。体育系・文化系の部活動・サークル全43団体のキャプテンが集められた。手元には「誘惑に負けるな」と書かれたチラシが配布されている。

全部活動・サークルのキャプテンを集めた広島経済大学
全部活動・サークルのキャプテンを集めた広島経済大学

広島経済大学・得津康義学務センター長:
みなさんの行動が誰かを救うということを考えてほしい

学生たちのすぐ近くに忍び寄る“薬物の影”。この日、リーダーとしてのリスクマネジメントや規範となる心構えを学んだ。

広島経済大学 サッカー部・杉山飛羽主将:
福山大学は直接対戦したチームでもあるし、同じ競技でもあるし、ニュースを見たときはとても驚きました

広島経済大学は部活動・サークルの全部員を対象に、4回に分けて研修会を開催。警察から講師を招いた。

広島県警 組織犯罪対策第三課・隅田孝行警部:
匿名性の高いアプリなどを利用して犯罪に加担することもあると思いますが、解析可能です。自分の人生を棒に振ってしまうということをしっかり認識していただきたい

隅田警部は薬物乱用によってできた注射痕など実際の写真を見せ、その恐ろしさを伝えた。また、最近はやっている「大麻グミ」や「大麻クッキー」など薬物の種類についても詳しく解説。

研修会で使われた薬物乱用者の注射痕の写真
研修会で使われた薬物乱用者の注射痕の写真

広島県警 組織犯罪対策第三課・隅田孝行警部:
覚せい剤事犯については年々減少しいていますが、大麻事犯は2023年に広島県内で85人、過去最高の検挙者となっています。そのうち少年の検挙は17人。すべて大麻事犯です。これほど皆さんと同じ年代に広がっています

「薬物の怖さを思い知った」

研修会では、全国的に大学運動部で摘発が相次いでいる背景について「閉鎖的な組織では一部のメンバーの行動が他のメンバーに影響を与えやすい」ことや「違法な行為でも外部の目が届かないため追随しやすくなっている」として注意を呼びかけた。

広島経済大学 硬式野球部・福家悠太主将:
薬物の怖さを改めて思い知らされました

広島経済大学 サッカー部・杉山飛羽主将:
これからは選手一人ひとりに考えさせて理解させて対策していこうと考えています

広島経済大学 学生課・赤澤康正次長:
SNSやインターネット等で大麻に関することが非常に“軽く”広がっているなと痛感しました。大学が学生の生活すべてを監視することは厳しいと思う。例えば、ご家庭や高校等、社会全体で連携を取りながら監視していくことが大切だと思いました

“恐ろしい薬物”が若い世代に急速に広がりをみせ、取り返しのつかない事態となっている。将来ある若者たちを守り、安心安全な社会を実現するためには、地域社会が一体となった強い取組みが必要だ。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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