急な腹痛や下痢、便秘を繰り返すのであれば「過敏性腸症候群」かもしれない。日本人の10人に1人がこの病気の可能性がある。専門医は別の病気の可能性もあるので、まずは病院で正確な診断を受け、治療を始めることが大切だと話す。

原因特定が難しい「過敏性腸症候群」

大切な試験や会議の前など緊張を強いられるシーンで、急にお腹が痛くなった経験がある人もいるのではないだろうか。今や日本人の10人に1人が過敏性腸症候群だという。

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福井赤十字病院の消化器内科・河合信佳医師はこの病気の特徴を次のように説明する。

河合信佳医師:
病気がないにも関わらず、便通異常で下痢や便秘、またお腹が張るような症状や腹痛などが出てくる病気です。

過敏性腸症候群には4つのタイプがある
過敏性腸症候群には4つのタイプがある

便通異常は「便秘型」、「下痢型」、便秘と下痢を繰り返す「混合型」、突発的な腹痛などが生じる「分類不能型」の4タイプに分類される。

原因について河合医師は性格、ストレス、食生活や睡眠の乱れなど、複合的な要素が絡み合い、特定が難しいと話す。ストレスなどの精神的な緊張を要因に、腸の収縮運動が激しくなり、痛みを感じやすくなるとされる。

発症者は20代から40代の現役世代に多く、近年は10代での発症も増えている。特に通勤中や会議中などに急に症状が出るという相談が多い。

河合信佳医師:
下痢型の方は、学校に行く前の電車の中、会社や会議前に急にお腹が痛くなってトイレに駆け込む。生活に困っているという相談が多い。

自己判断ではなく診断を

命に関わることはないが、日常生活の質を大きく落とすことがある。症状を緩和させる薬による治療に加えて、生活の改善も重要になる。食事は1日3食を決まった時間にとり、間食は控えて身体のリズムを整える。アルコールやカフェイン、香辛料など刺激の強いものは控える。

河合医師も中高生の時、通学中に症状に悩まされた経験がある。自分の症状を自分で理解することが効果的だという。

河合信佳医師:
僕も中学生・高校生の電車通学の時はよくなっていた。急にお腹痛くなるので、すぐに電車から降りてトイレに駆け込んでいた。ただ、自分はこういう時にお腹痛くなり、トイレに行くなっていうのを認知してもらい、そのタイミングの前にトイレに一回行って、自分は便が出ないと自覚すると効果がある。

ストレスの原因を少しずつ減らしながら、症状とうまく付き合っていく必要がある。ただ、自己判断で治療するのではなく、医師と相談しながら正しい対処法を見つけること先決だという。

河合信佳医師:
一番大事なのは自分のことを過敏性腸症候群だと決めつけて生活していかないということです。そう思い込んで、後から別の病気だったと判明すると、治療が遅れる。まずは近くの病院で相談し、過敏性腸症候群の診断を受けることが大事だと思う。

(福井テレビ)

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