NTT東日本が、ローカル5Gを活用した製造・物流システムを公開した。ネットワークの無線化により、工場の配線を削減し、生産性向上を実現。通信技術の活用で、離れた場所でも作業人材の育成が可能となる。

NTTは、人手不足などの課題解決に、通信技術を活用する方針だ。

製造・物流に「ローカル5G」活用

「ローカル5G」を活用して、効率的な製造や物流を目指す。

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NTT東日本が24日に公開したのは、独自にネットワークを構築して、大容量のデータを高速通信する、ローカル5Gを使った製造と物流のシステム。

工場設備では、ネットワーク機器をつなぐケーブルが、大量に配置されている場合があるが、このシステムでは無線化することで、電源以外の配線をなくしたという。

これにより、必要に応じて、短時間で生産性の高い配置への変更が可能になったとしている。

また、三菱電機と共同で実証を進める産業用ロボットの遠隔研修も公開され、次世代の通信技術IOWNを活用し、離れた場所でも作業人材の育成ができるという。

NTT東日本は、通信を活用した人手不足などの課題解決を進めるとしている。

「干渉なし」でWi-Fiより優位

「Live News α」では、暮らしを変えるテクノロジーに詳しいIoT NEWS代表・小泉耕二さんに話を聞いた。

海老原優香 キャスター:
さまざまな場面で、新たな高速通信の活用が期待できるようですね。

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
NTTは、無線通信としてのローカル5G、有線通信としてのIOWNの利用を多面的に推進しようと技術革新を行っています。まず、ローカル5Gについていうと、無線のため配線の必要がなくなるメリットがあります。

例えば、いま生産の現場では、さまざまな種類のものを必要な量だけ作る「変種変量生産」が求められていますが、ここでローカル5Gの活躍が期待されています。

海老原優香 キャスター:
具体的には、生産の現場がどう変わっていくのでしょうか。

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
「変種変量生産」を効率よく進めるためには、作業を行う産業機械や人のいる場所に、作っている物を運ぶ搬送ロボットの導入が有効とされています。このロボットが、工場内を縦横無尽に動くことを考えると、無線にするメリットが大きいです。

また、これまで工場などでは、Wi-Fiを使った通信でIoTを構成しようとして、干渉問題が起きていましたが、ローカル5Gは干渉がないという優位性もあります。

海老原優香 キャスター:
一方の有線通信のIOWNについては、いかがですか。

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
自動化が難しい細かな作業を遠隔で行う場合、通信遅延があるとズレが生じるため、どうしても現場に人が必要でした。

しかし、IOWNでは、遠隔手術ができるくらいの低遅延性が実現できているため、細かな動きを遠隔で行うのにも向いています。

現場の特性に合わせ生産性向上へ

海老原優香 キャスター:
高速通信の有線と無線の使い分け、あるいは、融合はどういう形で進んでいくのでしょうか。

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
使い分けでいうと、長距離通信を遅延なく行いたいという場合は、IOWNが有効です。一方、ある敷地内の通信性能をあげたいという場合は、ローカル5Gが有効と言えます。

有線と無線の融合、組み合わせの例としては、遠くの工場にある産業機械を遠隔操作で動かす場合、拠点間の通信はIOWN。そして、工場の中の通信は5Gで、といった通信が構築されていれば、従来に比べてかなり高速・低遅延な通信を実現することができます。この組み合わせを現場の特性に合わせて考えることで、生産性の向上が期待できます。

海老原優香 キャスター:
社会のデジタル化や、労働力不足などの課題解決につながるとして、早くてスムーズな通信技術の需要が高まっています。ここで開発が進むと、企業の生産性向上も期待できそうです。
(「Live News α」1月24日放送より)

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