処方薬や市販薬などを過剰に摂取する「オーバードーズ」が社会問題となっている。
熊本市の熊本赤十字病院でも、このオーバードーズによる救急搬送が増えていて、関係者が注意を呼びかけている。
10~40代が多く男女別では女性7割
熊本赤十字病院によると、コロナ禍以降、オーバードーズとみられる救急搬送が増え、2023年1年間で「急性薬物中毒」と診断された患者の数は4年前の約3倍に増えている。

熊本赤十字病院集中治療科・石藏宏典医師:
短時間に意図的に大量に服薬するような症例数は増えているような印象。100錠とか飲んでいる人もいた
年代別では10代から40代が多く、20代が2割を占めている。また、男女別では女性が7割だった。

熊本赤十字病院集中治療科・石藏宏典医師:
自殺願望がある人や消えてなくなりたいと思っている人、そういった人が多い。コロナ禍になって閉塞感もあって数が増えている可能性は一つ考えられるのではないか
意識がもうろうとした状態で家族に連れてこられる場合や、救急搬送される場合もあり、中には反応が全くない人もいて、対応に苦慮することもあるという。

熊本赤十字病院集中治療科・石藏宏典医師:
飲んだ薬や種類に応じて胃を洗う胃洗浄をしたり、薬を吸着するような薬用の炭を使ったり、重症だと透析を回したり、そういったことを検討することになる
「最悪、心肺停止で亡くなるケースも」
また、「オーバードーズの危険性は日常に潜んでいる」と薬剤師は話す。

熊本赤十字病院薬剤部・合澤啓二調剤課長:
薬は適切に医師の指示、薬剤師の指導の下で使うと効果も出て副作用も少なくて済むが、使い方をちょっと間違ってしまうとそれが身体にとって害になることもある
管理方法を間違って他人の薬を誤飲し、オーバードーズに至るケースもあり、注意が必要という。
熊本赤十字病院薬剤部・合澤啓二調剤課長:
食品やサプリメント、健康食品の中には薬の効果や副作用に影響を及ぼすこともたくさんあり、薬と一緒に飲むときは注意が必要

熊本赤十字病院集中治療科・石藏宏典医師:
(オーバードーズで)助かることもあるが、量や種類によっては、最悪の場合、心停止して亡くなるケースもあるので絶対やってはいけない行為
様々な薬が簡単に手に入る近年。薬が健康や命を守る一方で、危険なものにもなりうることを改めて認識する必要がある。
(テレビ熊本)