230人以上が亡くなった能登半島地震。1月22日現在もインフラは復旧せず、多くの人が避難を余儀なくされている。甚大な被害を及ぼしたのはマグニチュード7を超える大地震だ。同規模の大地震が福岡で起きたらどうなるのか。

「震度7」の揺れ 何ができる?

福岡市民防災センターでは、震度7までの地震を体験することができる。まずは「立っていることが困難になる」という震度6弱を体験した。
2005年に発生した福岡県西方沖地震も震度6弱だった。

川崎健太キャスター(震度6弱体験中):
これ危ないですね!おお…、テーブルを持っておかないと椅子からも落ちるぐらいで…、6弱の時点で本当にこれは…、かなり危なかったですね、けっこう揺れますね

能登半島地震と同じ震度7は、どれほどの揺れなのか?

この記事の画像(14枚)

川崎キャスターが体験すると、模擬の揺れであるにもかかわらず強い揺れが平常心を失わせ、体験中はコメントができなかったほどだった。

川崎健太キャスター(震度7体験後):
これは本当に恐怖しかないですね。これが実際に起きた時に何か対応できるかというと多分、私は何もできないと思います。それだけの揺れです

真下に断層…発生確率は「Sランク」

福岡の活断層のひとつ「警固断層」は、福岡市の真下に位置している。

国は、警固断層で地震が発生する確率を最も高い「Sランク」に位置づけ、マグニチュード7.2程度、震度6強の地震が福岡市内の多くで発生する恐れが想定されている。
そうなれば、福岡市内の交通機関が止まってしまう恐れも十分に考えられる。

福岡市によると、市内では約19万人の帰宅困難者が出る恐れがあり、そのうち天神地区とJR博多駅周辺で最大3万8000人が職場などにも滞在できず、行き場がなくなる恐れがあるという。

街で話を聞くと、会社員の男性(50代)は「今は準備、想定は全然していないです。自分が被災した場合のことを考えると、事前に日頃から準備しておく必要があるのかなと思う」と語った。

また、主婦(60代)からは「うーん…、どんなふうに動いたらいいか、まずは家族との連絡ですよね。どうしたらいいか、家族がどこにいるか、家に帰る方法ですけど、歩いて帰るわけにもいかないし」といった声も聞かれた。

トイレに毛布も…進む帰宅困難者対策

行き場のない帰宅困難者はどうすればいいのか。福岡市は、一時滞在施設の整備に力を入れている。そのひとつが2023年に完成した25階建ての大名ガーデンシティだ。

ビルの地下1階にある大きな扉を開けると、備蓄倉庫が広がっていた。

積水ハウス 企画開発課・岩崎幹子さん:
こちらは300人が3日間過ごせる物資を備蓄しております。簡易トイレや消臭剤も準備しています

備蓄倉庫には、5年間保存ができる飲料水のほかに、毛布や非常食が保管されている。
また、トイレは被災者が抱えるストレスにも大きく関係するため、十分な量が用意されている。

さらに3階のロビーは待機スペースとして利用可能で、帰宅困難者は、ロビーのほか会議室で夜を過ごすこともできる。

また、このビルには地震による停電を防ぐため、九州初の発電システムも導入されている。
発電に使われるガスは、北九州の響灘にある西部ガスの工場から60キロ以上の長いパイプラインを通って運ばれてくる。

西部ガス 福岡都市開発部・田口龍太郎主任:
災害がない場合も発電させることによって、省エネ・省コストに貢献できるような設備になっています

どう対応…約9000人の受け皿が不足

災害に強い最先端のビル。福岡市は、大名ガーデンシティのように新しいビルを建てる際、「一時滞在施設」の協定を結ぶことを条件に「高さ制限」や「容積率」を緩和し、施設の確保に力を入れてきた。

しかし、その数や収容人数は十分ではないという。非常事態の「受け皿」だが、実は約9000人分も足りていないのだ。

福岡市 防災・危機管理課・小川末男地域防災課長:
寄る辺のない帰宅困難者3万8000人に対して、2万9000人の受け入れ施設となりますので、約9000人の数が不足するというかたちになっております。民間施設の協力を頂きながら、大規模災害に対する取り組みを今後も進めていきたいと考えています

地震は本当にいつ、どこで起きるか分からない。今回の石川に限らず、福岡でいつ地震が起きても全く不思議でない状態だ。今からできることを始める必要もある。

(テレビ西日本)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(14枚)
テレビ西日本
テレビ西日本

山口・福岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。