東京・港区の麻布台ヒルズが、2023年に開業した施設の震災対策を公開した。
約2900台の制振装置・自家発電プラントの設置のほか、帰宅困難者の受け入れスペースも確保するなど、「逃げ込める街」として防災拠点の役割を目指す。

麻布台ヒルズの震災対策を公開

東京・港区に2023年11月に開業した麻布台ヒルズで17日、震災対策が公開された。

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麻布台ヒルズには約2900台の制振装置が設置され、東日本大震災や阪神淡路大震災レベルの地震が起きた場合でも、揺れに耐えることができるという。

また地下には、都市ガスを利用した自家発電プラントが設置されるほか、備蓄倉庫には帰宅困難者3600人が3日間過ごすことができる食料などが保管されている。

災害時に帰宅困難者を受け入れるスペース
災害時に帰宅困難者を受け入れるスペース

フジテレビ経済部・山下あす奈記者:
こちらは、普段は通路として利用されているんですが、災害時は帰宅困難者を受け入れるスペースとなります。

森ビルは「逃げ出す街」から「逃げ込める街」として、地域の防災拠点の役割も果たしたいとしている。

高層ビルが災害時に強い街づくりに

「Live News α」では、市場の分析や企業経営にくわしい経済アナリストの馬渕磨理子(まぶち・まりこ)さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
── 地域の防災拠点としての役割も担うという麻布台ヒルズ、どうご覧になりますか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
麻布台ヒルズは35年かけたプロジェクトです。これまでの多くの災害を教訓にして、「逃げ出す街から、逃げ込める街へ」というコンセプトをもとに、さまざまな災害対策がとられています。このメッセージや、実際の設備の充実には、心強さを感じますよね。

ただ、森ビルだけではなく、その場所で働く方、その街で暮らす方たちが力を合わせることで、災害に強い街づくりが可能になることも、忘れてはならないように思います。

堤 礼実 キャスター:
── 地震は、いつ、どこで、起こるかわからないですし、もしもに備える、これは大切ですよね?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
日本一の高さを誇る麻布台ヒルズをはじめ、森ビルというと、高層ビルをイメージする方も多いかと思います。この高さは、首都圏で予想される直下型大地震に対する備えにもなっています。

堤 礼実 キャスター:
── 背の高いビルが災害対策になるとは、どういうことでしょうか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
2024年1月17日で29年たった阪神淡路大震災では、古い木造住宅の密集した地域で、家が倒れたあと、火災で被害が拡大しました。

都市部の再開発では、分散している建物を集約して、最新の地震構造を持つ高層の建物をつくることで、災害時に避難することができる広い空間を生みだすことができます。

例えば、六本木ヒルズもそうです。「地上で横」に広げるのではなく、「高層階で縦」に伸ばすことで、街に空間を生み出し、緊急車両が走れる幹線道路の整備を進めることができました。

非上場企業ならではの固い震災対策

堤 礼実 キャスター:
── 災害に強い街づくりを進めていく必要がありますよね?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
アナリストの目に映る森ビルの魅力の1つに、株式を公開していない強みを生かした長期視点の街づくりがあります。

投資家から短期のリターンを求められない経営の自由度を生かして、腰を据えて、震災・災害対策の設備を充実させているわけです。そうした長い時間軸で事業を展開する企業であればあるほど、企業価値が高まるように思います。

堤 礼実 キャスター:
企業によるさまざまな技術を駆使した地震対策も大切ですが、何よりも1人ひとりが防災への意識を高めることが大切です。安心して暮らせる街にするには、まずは、自分が住む地域の災害への備えについて知ることが必要なように思います。
(「Live News α」1月17日放送分より)

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