12日から14日の3日間、沖縄で開催された バスケットボール・Bリーグのオールスターゲーム。そのBリーグが街と協力して行ったLINEを利用したスタンプラリーは参加ハードルが低く、リーグにとっては顧客データ取得とファン化促進のツールとなることが期待されている。Bリーグ・オールスターを盛り上げた、その「デジタルスタンプラリー」に迫った。

街の回遊がBリーグと地域を活性

12日から14日の3日間、沖縄で行われたスター選手の夢の共演 “Bリーグのオールスターゲーム”。

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番組が注目したのは、試合会場の沖縄アリーナからほど近くにある“コザエリア”。

多くの客が集う、老舗のタコス店「チャーリー多幸寿」に貼られていたのは、QRコードが付帯したオールスターをPRするポスターだ。

実はこのQRコードは、Bリーグが街と協力して行った、LINEを利用したスタンプラリー。複数の場所を回りスタンプを集めることで、抽選に参加でき、豪華な特典がもらえる。

街中を取材していると、さっそくスタンプラリーの参加者がいた。

川崎ブレイブサンダースブースター:
今21個目です。行ったという御朱印帳じゃないが、いわゆる「行った証し」みたいな。

地元・沖縄県民:
楽しいです。(普段)地元を回るって機会がなかなかないので。

ーー地元の人も知らないところを知ることができる?
地元・沖縄県民:
そうですね。

県内外を問わず、訪れる人の“街の回遊”を促す、このイベント。

スタンプラリー参加のカフェ:
みんな結構来てくださってます。お店入ってくれた人は1人なんですけど(笑)。

飲食店や物産店、観光施設などに、69カ所ものポイントを設置した。

スタンプラリー参加の工芸品店:
来たついでに、こういうのもあるんだというのを気がついていただけると。バスケを入り口にして、観光だけじゃなく、深く楽しみが広がるといいと思う。

「地域貢献のアイデアに注力できた」

そして今回、もう一つのポイントが、LINEという国内最大級の利用者を持つコンテンツを利用した点だ。

Bリーグ ファンプラットフォームグループ・湯川伸介アシスタントマネージャー:
(LINEを利用することで)参加しやすくなる。オールスターを通じて、バスケットボールを普及することに貢献できているのではと思います。

デジタル領域を駆使した、新たなスポーツビジネスの可能性。そして、地方創生につながる取り組み。

Bリーグファンプラットフォームグループ・湯川伸介アシスタントマネージャー:
今回LINEを使うことで、スタンプラリーのシステムは簡単に構築することできた。その代わり(回遊のための)ルートを開発したり、こういうお店を入れた方が、地域を知ってもらえるのではというような、地域に貢献できるようなアイデア、考え方というところに時間を使えた。LINEを導入したことのメリットの一つかと思っています。

地域を超えて集客できる強み

「Live News α」では、マーケティングアナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
沖縄で行われたBリーグとLINEのコラボ、どうご覧になりますか。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
Bリーグのオールスター観戦のために沖縄を訪れたファンにとって、スタンプラリーへの参加で、出場選手のサイン入りユニフォームなど、貴重なグッズが手に入る機会を得られる。

さらに、飲食店などで使えるお得なクーポンもあり、バスケ観戦だけでない沖縄での楽しい思い出をつくることができる。

こうしたデジタルスタンプラリーは、ほとんどの人が保有するスマホで対応可能なため、参加のハードルが低いこともポイントのひとつ。

Bリーグにとっては顧客データを取得できるとともに、中長期的にファン化を加速させるツールともなる。

堤 礼実 キャスター:
今回の試みは、地域の活性化にもつながりそうですね。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
Bリーグのファンを迎える沖縄観光サイドにとっても、顧客をゲーム感覚で地域を回遊させることで、ついで買いを含めて、プラスアルファの売上に繋げることが可能となる。

人口減少が続き、地域経済は危機的状況を迎えている。先日、島根県で百貨店が無くなるなど、とりわけ小売業と飲食業はインバウンドの来店が見込めるエリアなどを除き、売上の源泉となる集客が厳しい状況になっている。

今回のスポーツイベントとの連動などは、新規顧客を来店させる強力なきっかけになるため、地域を超えて人を集める、大きな武器となる。

「チーム×地域」にぎわい生み出す

堤 礼実 キャスター:
こうした取り組みが全国に広がっていくいいですよね。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
スポーツチームと地域の商店街との連動では、川崎フロンターレによる先行事例がある。年始に川崎大師でチームの必勝祈願をするのが地域の風物詩になっていて、その後、選手が川崎市内にある18の商店街を回るイベントが行われる。

商店街の活性化とともに、川崎市内である等々力のホームスタジアムに観客を集めることにもつながるなど、地域とスポーツチームとのウィンウィンの取り組みとなっている。

人口減の国内マーケットでは、スポーツチームと地域の商業施設などがコラボすることで、にぎわいを作り出す手法が一般的になっていくのかもしれない。

堤 礼実 キャスター:
デジタルスタンプラリーは、地域の楽しさや、美味しさの発見にもつながりそうです。スマホを起点とした地域とスポーツとの連動は、新しい形の魅力の発信として広がっていくかもしれませんね。
(「Live News α」1月16日放送分より)

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