能登半島地震による被害は、能登が誇る伝統工芸にも及んでいる。
取材班が訪ねたのは、艶やかな光沢と鮮やかな蒔絵(まきえ)の文様で知られる、輪島塗の老舗。1813年創業の和島屋善仁の工房だ。
能登が誇る「輪島塗」工房も甚大な被害
輪島塗「輪島屋善仁」 川越康さん:
商品のお椀なんかもまだ散乱している状態で…。

床には、最終工程に入っていた漆器が散乱。完成品の展示スペースも甚大な被害を受けていた。

輪島塗「輪島屋善仁」 川越康さん:
これはお椀なんですけども、ちょっとこういうふうに落ちて欠けちゃったりとか。
ふたが割れ、木材がむき出しになったお椀。お椀は一客で20万円ほどするものもあるという。

薪絵が施されている漆器は、10カ月ほどかけて職人が作り上げたもので、修復するのは難しいという。

輪島塗「輪島屋善仁」 川越康さん:
無地のものでしたら、ある程度時間かければ直せるんですけど、絵が描いてあるものはなかなか復元が難しくて。

輪島塗りの完成品や資材などを保管していた蔵も倒壊。店の被害規模は1億円を超えるという。
輪島塗「輪島屋善仁」 川越康さん:
やはり衝撃でした。痛恨の極みというか、残念の一言ですね。

取材班:
被害額は?
輪島塗「輪島屋善仁」 川越康さん:
億はいっていると思います。
ブランド牛・能登牛も深刻な状況
地震の影響に悲鳴を上げていたのは人間だけではない。
石川・能登町のブランド牛「能登牛」を生産する能登牧場では、地震から3日後の1月4日、牛たちが普段とは明らかに異なる鳴き声を上げていた。

その時の映像には、うなるような悲しげな鳴き声が記録されていた。

能登牧場 平林将さん:
いつも聞かない鳴き声でしたね。やっぱり何かおびえているような、パニックを起こしているような。
異変の原因は水不足だという。

能登牧場 平林将さん:
1日30リットル以上の水を必要とするんですけれども、正直いいところ、1日1頭あたり4リットルから6リットルくらいの水しか飲ませられなかったので。
水不足により、牛1頭が死んでしまったというこの牧場。地元名産のブランド牛は深刻な事態に直面している。
(「イット!」1月15日放送より)