能登半島地震について、岸田首相は8日、復旧にかかる費用を政府が支援する「激甚災害」の指定に向けた手続きを進めるよう指示した。

深刻な被害の状況が日を追うごとに大きくなっている中、地元経済・サプライチェーンへの影響や為替市場が乱高下する可能性などについて、エコノミストに話を聞いた。

「激甚災害・本激」指定手続きへ

能登半島地震について、岸田首相は、復旧にかかる費用を政府が支援する「激甚災害」の指定に向けた手続きを進めるよう指示した。

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岸田首相:
本日までの被害状況調査の結果、地域を限定しない激甚災害「本激」の指定の基準を超過する見込みが立ちました。

対策本部の会議で岸田首相は、復旧事業への国の補助率のかさ上げなどが行われる「激甚災害の指定」に向け、手続きに入るよう指示した。

また、避難所の環境改善に万全を期すよう指示し、みなし避難所とするホテルや旅館の利用額の基準を特例的に引き上げる方針を表明した。

松村防災相は、記者団に「地域の実情を踏まえ、7000円から1万円に引き上げる」と説明している。

国全体の経済停滞のおそれも

「Live News α」では、エコノミストの崔真淑(さい・ますみ)さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
深刻な被害の状況が、日を追うごとに大きくなっています。崔さんは、どうご覧になりますか。

エコノミスト・崔真淑さん:
能登半島地震による影響は、まだまだ見えない。何より1週間が経過した今も、安否がわからない人がたくさんいることが、何よりも心配。

さらに被災地への物資も足りていないということで、国や自治体に限らず、企業や個人も、いまできる支援を考える必要がある。

堤 礼実 キャスター:
心配される地域への影響というと、経済についても懸念されていますが、こちらについてはいかがですか。

エコノミスト・崔真淑さん:
余震が続いているなど、経済への影響は不確実性が高まっている。

一番心配されるのが、地元経済への影響。能登半島がある石川県では北陸新幹線効果で、観光の活性化が期待されていたが、この期待に水を差した形になっている。

また、地域にある半導体の電子部品工場や、自動車関連の生産拠点が被災したことを考えると、サプライチェーンへの影響、それによる物価への影響が懸念される。

さらに、もう一つ懸念を指摘するなら、為替市場が乱高下することによって、経済への影響が大きくなる可能性がある。

堤 礼実 キャスター:
為替への影響とは、具体的にどういうことなのでしょうか。

エコノミスト・崔真淑さん:
投機的な動きの影響で、実際、1月2日以降の為替市場は、140円台前半へ急激に円高に触れた。

地震が続いて日本のサプライチェーンが停滞したまま海外からの投資マネーが減ると、日銀は金融和を継続するとの思惑により、円安にもなる可能性があり、為替市場が上下しやすくなりそうだ。

賃上げムードにも影響か

堤 礼実 キャスター:
経済への影響についても、これから見ていく必要がありそうですね。

エコノミスト・崔真淑さん:
先行研究でも為替市場の乱高下は、経営者のマインドを冷やすことが知られており、賃上げムードにも影響しかねない。

ビジネスパーソンとしては、2024年の為替市場は非常に上下しやすいということを前提に、経営戦略を練る必要が出てくるのかもしれない。

堤 礼実 キャスター:
まずは、多くの命が救われること、命の危機に直面している方々に支援が一刻も早く届くこと、そして被災された方々が前を向ける日が、一日でも早く訪れることを願うばかりです。そのためにも、いま私たちに何ができるのかを考えて行動することが求められています。
(「Live News α」1月8日放送分より)

<フジネットワーク サザエさん募金>能登半島地震救援

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