元日に最大震度7を観測した能登半島地震。
生存率が下がるとされる「発生から72時間」が過ぎたいまも、被災地では、懸命の救助活動が続けられている。
記者リポート:能登町白丸地区に来ています。地震の発生から3日目になりますが、このように道にはがれきが広がっており、完全に車が通ることができなくなっています。
■がれきの山となった道路

多くの街に被害をもたらした能登半島地震。がれきの山が道路を埋めている。
能登町の住民男性:(Q.これは何ですか?)家のはりです、屋根を支える。
能登町の住民男性:(Q.津波はどこまで?)跡があるでしょ、あそこまで津波が来たってこと。初めてだね、80年生きたけど初めて。
■決死の避難「死ぬときは一緒や」

被災地では多くの家屋が倒壊した。
記者リポート:地震で大きな被害にあった石川県珠洲市です。あたり一面、家が崩れています。
珠洲市に住んでいる女性に話を聞くことができた。 女性は自宅に案内してくれた。
珠洲市の住民女性:これです。
案内された自宅は大きく建物全体が傾いていた。
珠洲市の住民女性:この1年前ぐらいかな、やっと内壁だのなんだの、直してもらったんだけど、これ修理しても住めるような状態じゃないですもんね。

地震が起きた時、自宅にいた女性は死を覚悟したと話した。
珠洲市の住民女性:これはダメやわと思って、窓から飛んだ。その上から2階が落ちてきたさかい。そのうち、津波警報も入って(下敷きになった夫が)『死ぬわ』って言ってて、『死ぬときは一緒や』って言いながら、そのうち消防の人が来てくれた。
石川県ではこれまでに、珠洲市や輪島市など81人の死亡が確認されている。
珠洲市の住民男性:そこに店があったんだけど、そこの親父も、結局、嫁さんの状況を見に行って…こう(下敷き)なって、まだ遺体は出てない。(別の家は)親子で(下敷きに)…。(Q.今もまだ…)おるおる、(Q.お気持ち…)耐えられん。
■今も懸命に続く救助活動

発生から72時間たつと生存率が急激に下がるとされる「72時間の壁」が迫る中、4日も懸命の救助活動が続いた。
そして避難所では、住民が食料や水を持ち寄って避難生活を送っている。
珠洲市の避難住民:おにぎり、1個。1日2食、朝昼兼用、夜1回。1週間や10日で済まないでしょうから、いつまで続くのか不安ですね。
■合計690人以上が孤立している

元日に能登半島で発生した最大震度7の地震。
この地震により、日本3大朝市で有名な輪島朝市通りの中心部で火災が発生し、建物が200棟、約4000平方メートルが焼けた。
その後も地震は繰り返し起き、道路はがけから滑り落ちた土砂などで寸断されている。
珠洲市と輪島市で少なくとも690人が孤立している。
また道路の寸断は津波の被害を受けた地区でも起きていて、石川県の狼煙地区では690人とは別に孤立している人がいるが、その人数は把握できていない。
■今ほしいのは「消毒液」「おむつ」 水が自由に使えない状況

各地で避難所が設置されているが、支援の遅れも生じている。
町内会の人:物資そのものは、ほとんど少なくて足りない状態ですが、皆さんの協力で何とかやっています。いま、避難所で最もほしいのは消毒液。トイレを済ませても手が洗えないとか。あと、どうしても少ないのはおむつ。おむつは子供用と大人用、両方とも足りないので、もし持っている人がいれば、ぜひ協力していただきたい。
断水している一部の地域では4日、ようやく。
記者リポート:4日目にして初めて給水が行われます。1人2リットルのペットボトル1本と決まっていますが、給水を求めて多くの方が並んでいます。
「ゆっくり出して慌てんと。大事な水やぞ」
被災した女性:水がないし、トイレの水も都合が悪いし、本当にひどいなと思う。つらいです。でもやっぱりみんな同じ状況だから、しょうがないし助け合って行かないといけないなと思います。
被災した男性:水道も出ないし、食べるものもないし、弱った。(給水所の水を飲んで)あーおいしい。(Q.なかなか水分がとれなかった?)とれなかってん。あーおいしいわ。
■相次ぐ地震で何度も中断 救助活動は難航

甚大な被害をもたらした地震。
輪島市では7階建てとみられるビルが根元から折れて倒れた。隣にあった建物には女性が取り残されていて、救助活動が続けられていた。
「出ろ出ろ!離れろ」
記者リポート:いま緊急地震速報が鳴りました。非常に大きな揺れで、立っているのも、やっとの状況でした。
さらに、夜にも…
記者リポート:午後9時です。いま消防が緊急退避しています。
相次ぐ地震で何度も中断し、救助活動は難航した。
記者リポート:いま、ビルの倒壊によって、下敷きとなった女性の体が外に出されたものとみられます。
地震発生から2日、女性は救出されたが、心肺停止の状態だった。
■安否不明者の情報公開するも、リストになく連絡がつかない人も…

気象庁によると、1日の発生から4日まで、震度1以上を観測した地震の回数は約600回に上る。
珠洲市の倒壊した住宅では3日昼過ぎ、80代の男性が2日ぶりに救助された。命に別状はないということだ。
石川県では3日夜から、安否不明者の情報を公開した。県のホームぺージから氏名や年齢などが確認でき、現在は79人が掲載されている。
記者リポート:発災から72時間が迫る中、多くの住宅が倒壊している穴水町でも必死の救助活動、捜索活動が行われます。
しかし、安否不明のリストにのっていない人で連絡がつかない人も…
女性:(Q.ご近所の方ですか?)自宅がそこなんですけど…。(Q.当時は?)職場で2日間、被災にあって, 夕べ帰ってきて、いま初めて見に来ました。
女性:ここのおじいちゃんって聞いてますか?
記者:安否不明には名前はないですね。
穴水町の倒壊した住宅では13歳の男の子も行方不明になっている。
自衛隊や全国18都県からの緊急援助隊も加わって、いまも捜索が続いている。
(関西テレビ「newsランナー」2024年1月4日放送)