自動車メーカー・ダイハツ工業の不正問題で、22日から滋賀県などにある工場が順次稼働を停止する。従業員の雇用はどうなるのか?部品供給会社は、補償を受けられるのかなど、多くの懸念が広がっている。
■22日も本社に立ち入り検査 結果によっては…国土交通省「認証の取り消し」

ダイハツが国の認証を受けるために安全性を確認する試験で大規模な不正を行っていた問題で、国土交通省は21日に引き続き、22日も、大阪府池田市にある本社に立ち入り検査を行った。 試験データが記載された資料の確認や関係者への聞き取りを行っていて、この検査内容について斉藤国土交通大臣は、「事実関係の確認を進めているところ」とコメントした。
斉藤鉄夫国交相:
「いま自分が乗っている車は大丈夫なのか」というご不安をお持ちの方が、たくさんいらっしゃるかと思います。国土交通省としては不正行為が確認された車種について速やかに確認試験を行ってまいります。その上でリコールが必要なものは速やかにリコール届出を行うよう指導し、基準適合性が確認されたものは順次その結果を公表するなど、ユーザーの安心安全のために取り組んでまいりたい
国土交通省は、検査の結果によっては、行政処分や大量生産に必要な認証の取り消しも行うとしている。
■滋賀県のダイハツ工場稼働停止 従業員の雇用や給与どうなる?

樋口諒記者リポート:
不正な認証が行われていた、滋賀県の竜王工場です。安全はみんなの願いと書かれています
ダイハツは25日までに、国内工場の稼働を順次止めていく。国内の工場で働く従業員は、およそ8700人いて、工場が停止したあとは、機材・部品の整理や工場の清掃などを行ってもらい、給与を維持する方針だ。
■竜王町と協力してきたダイハツの“子育て支援” 安全性大丈夫?

工場がある竜王町では、2021年からダイハツと協力した子育て支援を行ってきた。それは、2人目、3人目の子どもを出産した人にはダイハツのファミリー車を3年間無償で貸し出すというサービスだ。 36件の申し込みがあり、すでに31件については車を町民に貸し出した。残りの5件の貸し出しを実施するかは未定だ。
竜王町役場 総務主監・図司明徳さん:
安全性は大事なところというのは当然基本的にある。ただ私どもが、今の状態が安全かどうかは分かりませんので、メーカーさんの方でしっかり安全であれば、安全とお示しいただければいいのかなと。若い世代・子育て世代が定住してほしい、定住いただく上で、すごく魅力的な制度だとは自負していますので。(ダイハツには)今の問題をまずはしっかり解決いただいて、その上で引き続きこの制度の維持にご協力願えたらありがたい
■ダイハツから認定の「優良販売店」は困惑 仕入れどうすれば? 補償は?

一方、ダイハツから、「優良販売店」として認定されているこちらの会社では…
まらねろモータース・高田宗慶社長:
これ全部ダイハツの車。ここには30台くらいあるが、常時は60台ぐらいを…。個人としても(ダイハツの車が)好きだったので、たくさん扱ってきたので、ちょっと残念な思いかな
この会社では、企業向けに対して短期間、車の貸し出しを行い、その後、「新中古車」として販売も行っている。年間150台の車を仕入れているが、ダイハツの車の生産が止まれば、客に供給する車が確保できなくなる。

まらねろモータース・高田宗慶社長:
仕入れてなんぼの商売なので、車が入ってこないということは非常につらい。経営に影響が出てくることなので、他のメーカーの仕入れの割合を少し増やしていかないといけないのかな
いまある車を1台1台、内部まで見ることはできないので、ダイハツ社長の「今まで通り安心して乗っていただければ」という言葉を信じるしかないと話す。
また、不正が明らかになったことで、今後、客から、「販売のキャンセル」が出ないか心配している。そして…
まらねろモータース・高田宗慶社長:
サブディーラーとして、今までダイハツの車を信頼して販売してきたっていう関係もあるので、この関係をやっぱりつぶしてほしくないためにも、今後の補償っていうところも…話があったらいいかなと期待はしていますけれども
■ダイハツの取引企業は8000社以上 売り上げや雇用にも大きな影響が

今回の不正問題は、ダイハツの関連企業にも大きな影響が出る。帝国データバンクによると、ダイハツに部品などを供給する取引企業は全国で8000社以上だ。

大阪府に1043社、兵庫県に334社、滋賀県にも187社あり、売上や雇用などへの影響が懸念される。そのうちの一つ、大阪のある会社は関西テレビ取材班に対し、次のように話した。
大阪の部品会社:
ダイハツ部品の製造はもうすぐストップがかかることになると思う。なるようにしかならない、打つ手がない。工場の維持費、従業員の給与などはかかるので、今後雇用の問題にもなる

ダイハツは、取引会社への補償についてすでに話し合いを始めていて、「生産済みの部品の買い取りや、売り上げの減少分の補償など、サプライヤーごとに違うので、個別に対応する」としている。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年12月22日放送)