イスラム組織ハマスは、イスラエルとの戦闘によるガザ地区の死者が2万人に達したと発表した。
さらに、その約7割が女性と子どもだという。
人道団体「エアウォーズ」は、「自分たちが見てきたどの紛争をも上回るペースで民間人の犠牲が出ている」と述べている。

犠牲者の約7割が女性と子ども

イスラム組織ハマスは、イスラエルとの戦闘によるガザ地区の死者が、2万人に達したと発表した。

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ガザ当局によると10月7日の戦闘開始以来、ガザ地区の死者が2万人に達し、約7割が女性と子どもだという。

さらに犠牲者の増加が懸念されるが、アメリカのバイデン大統領は「現時点で(合意は)期待できないが、強く求めている」と話し、戦闘休止の合意はすぐには見込めないとの考えを示した。

一時的な休戦と引き換えに、人質の解放を求めているイスラエルと、戦闘の停止と軍の一部撤退を求めているハマスの間には隔たりがある。

ここからは、フジテレビ取材センター室長・立石修がお伝えする。

ガザ地区の死者が2万人に達した。この数字の持つ意味を考えていきたい。

ガザ地区最南端のラファの20日の映像では、イスラエル軍による激しい攻撃があり、市民が逃げ惑っている様子や、子どもが泣き叫ぶ様子が映されている。

現在もガザ地区南部では各地で空爆などが続いており、ガザ当局によると、19日の攻撃だけで約100人が死亡したという。

ハマスが運営するガザ当局によると、衝突が始まってから75日間で死者は2万人に達し、さらに現在も行方不明者が約6700人。死者数はさらに増えるおそれがあるという。

グラフを見ると、11月24日からの1週間の戦闘休止期間は死者数が増えていないが、戦闘が再開され、結局以前と同じようなペースで犠牲者が増えている。

「ハマスせん滅」といっても、民間人が犠牲になってしまっている。

子どもと女性の死者数を見ると、ガザ地区当局の発表では、子どもが約8000人、そして約6200人の女性が死亡したとのことで、死者の約7割が女性と子どもになる。

さらに医療関係者が310人、ジャーナリストが97人死亡しているということで、多くの民間人がこの戦いに巻き込まれていることがわかる。

短期間で多くの犠牲者

これがいかに深刻なものなのか、こんなデータがある。

国連の推計では、2022年2月からロシアによる軍事侵攻が続いているウクライナでの民間人の犠牲者は、11月時点で約1万人となっている。

一方、イスラエルとハマスの戦闘では、ハマスの襲撃から始まったもので、単純に比較できるものではないが、75日間で2万人とより短期間で、より多くの犠牲者が出ていることがわかる。

2014年から世界各地の紛争での民間人の犠牲をウォッチしている人道団体「エアウォーズ」は、BBCの取材に対して、「自分たちが見てきたどの紛争をも上回るペースで、民間人の犠牲が出ている」と述べている。

ガザ地区は、人口密度が世界でも最も高い地域で、イギリスの研究団体の調査では、紛争において人口密集地で爆破物が使われた場合、犠牲者の90%は民間人になるという。

一方で、ハマスは人質を解放せず戦闘を続けており、イスラエル側は「ハマスが人質や市民を人間の盾として使っている」と主張している。
(「イット!」 12月21日放送より)

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