不動産事業でおなじみの「タカラレーベン」がホールディングス化し、「MIRARTH(ミラース)ホールディングス」に社名を変更していることはご存知だろうか。

タカラレーベンは、1972年の創業から、マンションブランド「レーベン」「ネベル」シリーズの企画開発販売などを手掛ける不動産総合デベロッパーとして50年以上にわたり不動産事業を展開してきた。

これまで培ったブランドイメージとともに浸透していた社名を変えたのはなぜか。代表取締役の島田和一さんに聞いた。

聞き手:フジ・メディア・ホールディングス サステナビリティ推進室 木幡美子

「今は名前に負けていますが…」

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――MIRARTHホールディングスという社名には、どのような意味が込められているのでしょうか。

MIRARTHという名前は、「Mirai(未来)」と「Earth(地球)」を組み合わせた言葉で、地域社会への貢献を通じ、人と地球の未来を幸せにする企業へ進化していくという当社グループの決意が込められています。

2022年10月、持株会社体制への移行に合わせて新社名でスタートを切りました。

MIRARTHホールディングス株式会社 代表取締役の島田和一さん
MIRARTHホールディングス株式会社 代表取締役の島田和一さん

――なぜ、これまで浸透してきた社名を変えるという大きな決断をされたのでしょうか。

1972年に「株式会社宝工務店」として創業以来、「タカラ」が入った商号で営業してきたので、変更については非常に悩みましたが、不動産総合デベロッパーの枠を超え、地域社会と共創し、未来の街づくりに取り組む「未来環境デザイン企業」へと進化していく決意を表明するためです。

それにともない、「サステナブルな環境をデザインする力で、人と地球の未来を幸せにする。」というパーパス(存在意義)を掲げました。

ものすごくスケールの大きな話ですが、「名前に負けずに未来に向かってパーパスを実現していく」という意気込みを示すことが大切だと思っております。

とはいえ、「タカラレーベン」という企業がなくなったわけではなく、ホールディングス化によってグループ会社となり、これまで通り第一の柱である不動産事業を担っています。

『街角パレット』に込めた地域への想い

1社提供番組『街角パレット~未来へのたからもの~』
1社提供番組『街角パレット~未来へのたからもの~』

そんなMIRARTHホールディングスが1社提供するミニ番組『街角パレット〜未来へのたからもの〜』が2023年10月から放送されています(フジテレビ 毎週日曜日11:45~/ BSフジ 毎週水曜日22:55~)。

日本全国の「地域」にスポットを当てたミニ番組で、全国津々浦々のまちで出会った“色”を通じて、その土地ならではの暮らしの物語を紐解いていく。

――この番組ではどんなところに注目してほしいですか?

全国各地の美しい風景や建物や名産品などの“色”が紹介されており、その地域ならではの「まちらしさ」が短い時間の中にギュッと詰まっている番組です。

当社グループがお手伝いしていきたい「未来の街づくり」に必要不可欠である、地域の方々の「想い」を感じながら見ていただきたいですね。

――実際にオンエアをご覧になってどう感じましたか?
 
改めて、「日本にはこんなに素敵なまちがたくさんあるんだ」と知るきっかけになりました。知っている街も、初めて知った街も、“色”を通じた物語を知って、「このまちにはこんな一面があるんだ」と興味が湧いてきます。

私は日本各地を訪ねるのが大好きなのですが、日本には本当に素敵な“色”をもった、可能性を秘めた地域がたくさんあると思います。

そんな地域の“色”を、事業を通じてもっと明るくしていきたいと考えています。

コロナ禍も明け、外国の方が日本の様々な地域に興味をもって旅をされていますが、日本の方々にも実際に訪ねて肌で魅力を感じてもらいたいと思っています。

『街角パレット』がそのきっかけになればうれしいですね。

施設を作って「はい、さようなら」ではない再開発へ

――どのように地域社会の活性化に取り組まれるのでしょうか?

まず、地域社会の課題を、地域の方や行政の方からじっくりヒアリングして、我々に何ができるかを考えていくことを精力的に行っていく予定です。

そのために、「地域戦略推進室」という部署を2022年度に新設しました。

地元の方からお話を聞いていると、「今度、あの小学校が廃校になるんだけど、何かできないか」など多様な課題を抱えており、当社の不動産事業、エネルギー事業、アセットマネジメント事業という3つの事業の柱を組み合わせた総合力によって、課題解決に貢献していきたいと考えています。

――具体的には?

地域を活性化するための一つの手段として再開発があります。施設や住まい=点を作って「はい、さようなら」ではなく、継続的に街づくりに関わりつつ、点と点を繋げて線へ、そして面をつくって人の流れを創出し、地域を活性化させていくというものです。

2026年開業予定の「Fun&Cool Hotel KAGOSHIMA Airport(仮称)」(完成予想CG)
2026年開業予定の「Fun&Cool Hotel KAGOSHIMA Airport(仮称)」(完成予想CG)

今、取り組んでいるのは鹿児島空港の目の前にある老舗ホテルを新たな拠点として再生する事業です。

タカラレーベンは、鹿児島・霧島市で51年の歴史を持つ「かごしま空港ホテル」の営業終了にともない、新たな拠点となるホテル「Fun&Cool Hotel KAGOSHIMA Airport(仮称)」の開発を進め、2026年末の開業を予定しています。

6階にレストラン、5階に展望浴場を設け、鹿児島空港や霧島連山、桜島のパノラマビューをお楽しみいただけるホテルとして計画しております。

地元の方だけでなく、遠方から来た方も、このホテルを拠点に離島観光やゴルフを楽しんでもらえるような選ばれる場所を目指すとともに、地域活性化のきっかけになればと思っております。


キャッチフレーズは「地域社会のタカラであれ。」 

――「サステナブルな環境をデザインする力で、人と地球の未来を幸せにする。」というパーパスで取り組んでいることはありますか?

不動産事業に続く第二の柱として、再生可能エネルギーを扱うエネルギー事業を進めています。

再開発とともに、地域の中で再生可能エネルギーを作り消費する仕組みを作ることで、持続可能な社会を実現できると考えており、富士山麓の朝霧高原で複数社と連携し「富士山朝霧バイオマス発電所」の運用を行っています。

「富士山朝霧バイオマス発電所」
「富士山朝霧バイオマス発電所」

朝霧は牛乳の産地で、産業廃棄物となる牛糞の処理が長年の地域課題でしたが、この牛糞を利用して発電し、その過程で出た液体と固形の副産物を、肥料として活用することで、エネルギーを循環させる仕組みを作っていこうという試みです。

地域資源を活用して再生可能エネルギーを生み出しつつ、牛糞の処理という地域課題も解決することで、地域を元気にしていけると考えています。

――まさに、地域の課題解決ですね。MIRARTHホールディングスさんのおかげで、街がどんどんカラフルになっていくようですね。

『街角パレット』の最後で、「地域社会のタカラであれ。日本の未来を元気にする MIRARTHホールディングス」というキャッチフレーズが流れますが、この、「地域社会のタカラであれ。」とは社員を鼓舞する意味なのです。

これからも新社名に恥じないようにパーパスの実現を目指していきたいと思います。

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