トイレを使って水を流す時、あなたは“フタ”をどうしているだろうか。
その実態に迫ろうと、生活用品メーカーのライオン株式会社が「トイレのフタ」に関する調査を実施。その結果、「フタを閉めて流す」人が多数派である一方で、フタの汚れに対する関心が高くないことがわかったという。
1日で約1800滴?フタの裏側に飛び散りが…
調査は20~60代の男女450人を対象に、インターネットで2023年9月21日に実施。
この記事の画像(9枚)まず、自宅のトイレを使用後に水を流す際、フタを閉めるかどうか聞いたところ、フタを「閉めて流す」が 56.2%と多数派だということがわかった(開けたままは43.8%)。理由としては「飛び散るのが嫌」「清潔感がある」「感染リスクを少しでも減らしたい」という衛生面が多く挙げられているという。
なお、56.2%のうち10.2%はコロナ禍がきっかけで「閉めて流す」ようになったと回答。つまり、コロナ禍を経て、「フタを閉めて流す」派が過半数となっていた。
たしかに床などの飛び散りはフタを閉めれば防ぐことができる。しかし、閉めた状態で水を1回流すとフタの裏側に平均約90滴の飛び散りが発生することが同社の検証で分かっている。
例えば家族4人が5回ずつトイレを利用したとすると、1日で約1800滴が飛び散る計算となるのだ。
なお、検証では渦を巻かない水流の便器8台を使用。水に濡れると色が変わる紙をフタの裏側や床、便座に貼り付けた後、フタを閉めた状態で1回流し、紙の色が変わった箇所を水滴として数えて調べた。
また、この飛び散った水滴については汚染の実態も調査。その結果、飛び散りが起こったフタの裏側からは菌が検出され、飛び散りが菌汚染の原因になることが判明した。
このように、トイレ内の衛生面を気にして「フタを閉めて流す」と、今度はフタの裏側が菌汚染されていたのだ。
しかし「フタの汚れへの関心は高くない」という。今回の調査で、汚れが気になる場所として多くの人が挙げたのが「便座の裏」(約61%)で、最も気になる場所としても約36%が挙げていた。
一方で、気になる汚れとして「フタの裏側(約40%)」、「フタの表側(約30%)」という関心が寄せられている。しかし、最も気になる汚れとしてはどちらも3%未満だった。つまり、トイレのフタは気にはなっているが、汚れている場所とはあまり意識されていなかったのだ。
清潔意識の高まりで「閉める」派は今後も増加と推測
ちなみに、フタを閉めることで床への飛び散りはゼロに抑えることができたという。そう考えると、流す際には「フタを閉める」方が良いように思える。実際のところ、トイレ使用後のフタの開け閉めはどのようにするのが正解なのだろうか?
調査結果について、ライオンのヘルス&ホームケア事業本部・リビングケア事業部の深野友佳さんに話を聞いた。
ーーコロナ禍を経て「フタを閉める」派が多数派となった結果に対して、どうみているの?
フタを閉める理由で多く見られたのが「汚れや菌が飛び散るのが嫌」「感染リスクを減らしたい」といった清潔に対する意識に基づくものでした。
目に見える汚れだけでなく、「目に見えない汚れや菌」も含めて、トイレを清潔に保ちたいと考えている方が増加していることを感じるとともに、コロナ禍がその考えを促進させたのだろうと考えております。
ーーこれからも「フタを閉める」派は増えていくと考えられる?
清潔意識の高まりから、まだ増加すると考えております。一方で、あけたままにする方も、排泄物の色を確認するといった健康習慣からあえて開けている場合や、身体的理由からフタの開閉が難しい場合もあり、フタを閉める派が100%となることは無いと考えております。
ーー菌汚染の原因である飛び散りは閉めると約90滴がフタに付着。にもかかわらず、なぜフタの汚れへの関心が高くなかった?
一見、フタ裏は汚れているように見えないためだと思います。また、フタを閉めた状態ではフタ裏に汚れが飛び散っている様子を目にすることもないため、汚れる場所であると考えたことが無い方も多いのではないでしょうか。
ーーこの結果についての受け止めを教えて。
トイレは掃除をしなければならない箇所が多い場所だと思います。汚れていることが目に見えてわかりやすい便座裏や、掃除意識が高いフチ裏と比べて、寄りかからなければ直接触れる機会も多くないフタ裏への関心が高くないのは理解できます。
お客様の負担を増やさず、さっとケアできるようなお掃除方法のご提案ができればと思いました。
ーー実際、トイレのフタの開け閉めはどうするのが正解なの?
正解は有りません。飛び散りの観点からは、制約やこだわりの無い場合は、飛び散ってしまう範囲を狭めることができるので、閉めてから流していただくことをおすすめします。
フタも忘れずに掃除することが大切!
なお、同社のリビングケアマイスター・吉井和美さんは、フタ掃除について「フタの裏側が汚れやすい所であると知っておき、普段のふき掃除の時に忘れずに掃除することを心がけましょう」とアドバイスしている。
ふき掃除のポイントとしては「必ず洗剤や水で濡らした状態でふく」こと。トイレ用シートや、ふき掃除にも使えるトイレ用洗剤を吹きかけたトイレットペーパーでふくのも良いそう。
では、どれくらいのタイミングで掃除をするべきなのだろうか?トイレ掃除で気をつけるべきことはあるのかも聞いてみた。
ーーどれくらいのタイミングでトイレ掃除をするべきなの?
便器の中の掃除や全体を順番にふき掃除するお掃除は、生活スタイルに合わせて習慣にしやすいので、週に1回をおすすめしております。
それに加えて、便座の裏などの汚れやすい場所はご家庭のトイレの状況に応じて、用を足したついでにササっとふき掃除。その際に、フタ裏もふいていただけたらと思います。
ーー気をつけるべきことはある?
ふき掃除を行う際、汚れが少ない所から多い所の順でふいていただくことで、逆に汚れや菌を広げてしまう事態を防ぐことができます。
トイレ掃除のアイテムとして、同社は「ルックプラス 泡ピタ トイレ洗浄スプレー」をおすすめしているとのことだ。週1回のお掃除では洗いにくい便器のフチ裏まで簡単に掃除ができて、便座や床のふき掃除では除菌・抗菌・ウイルス除去までできて便利だという。
トイレ掃除をする際、汚れが気になる部分だけを重点的に掃除していた人も多いことだろう。しかし、フタ部分など汚れていなさそうな部分も、忘れずに掃除してほしい。