福島第一原発の処理水の海洋放出を受け、輸出の大幅な減少が見込まれる新潟県佐渡市のナマコが苦境に立たされている。
ナマコの種苗の放流始まるも…
2023年12月5日、佐渡市の佐和田漁協と加茂湖漁協に手渡されたのは佐渡市内で生産された放流用のナマコの種苗だ。
加茂湖漁協は約3年後の収穫に向け、受け取った種苗をさっそく放流するが、加茂湖漁業協同組合の山本博文組合長は「買われないナマコは値段が安くなる、あるいは値段がつかなくなる」と話す。

中国の輸入禁止措置で苦境
影響を懸念するのは、福島第一原発の処理水放出を受けた中国による日本の水産物の輸入禁止。
佐渡のナマコは大半を中国に輸出してきただけにナマコの種苗を育てる施設も苦境に立たされている。ナマコの養殖を行う浦島三和の須藤由彦社長は「中国は全部キャンセル100%。なかなか売り先が決まらないのが現状」と話す。

被害総額は約4億円に
8000万匹いたナマコの種苗を現在200万匹にまで間引いていて、被害総額は約4億円にのぼると言う。

処理水放出前と放出後の価格の差額を賠償する方針を示した東京電力と連絡は取り合っていると言うが、関係者は一刻も早い中国の輸入禁止措置解除を願っている。

佐渡市農林水産部農林水産振興課の伊藤誠係長は「これまで築き上げてきたナマコの産業を維持するためにも今後も継続して漁業者と生産事業者が連携して我々も協力しながらナマコ産業を盛り上げていきたい」と話した。
(NST新潟総合テレビ)